• 健康だより


  • 特集 (2017 春季号より引用)

脚の腫れ、痛み、むくみ、呼吸困難、胸痛、動悸など

静脈血栓塞栓症

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 「エコノミークラス症候群」という病気を、聞いたことがありますか?以前にかなり話題になりましたので、知っている方は多いと思います。

 「エコノミークラス症候群」とは、飛行機の中に長時間、同じ姿勢でいることによって発症する「静脈血栓塞栓症」のことです。

 飛行機だけでなく、長距離バスや車内でもみられることから、ロングドライブ症候群ともいわれています。その他、手術のあとや病気やけがのために寝たきりの状態が長く続き時に起こりやすくなります。

 また最近では、東日本大震災や熊本地震で、避難生活を余儀なくされた方にも多く発症して話題になりました。

 下肢の浅いところにある表在静脈ではなく、太ももやふくらはぎの筋膜の中にある静脈を深部静脈といいます。その深部静脈内で血液のかたまりである血栓ができると(深部静脈血栓症)、それが心臓の方に飛んで、右心房、右心室を通りすぎて肺の動脈をふさいでしまう肺血栓塞栓症(肺塞栓症ともいいます)を発症してきます。

 深部静脈血栓症と肺血栓塞栓症は一連の病態であるために、二つを合わせて「静脈血栓塞栓症」と呼びます。

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 肺血栓塞栓症を発症すると、時に致命的で予後不良です。以前は欧米で多い病気といわれてましたが、最近日本でも増加し、肺塞栓症の死亡率はここ10年で約2倍に上昇しています。そして、死亡例の約4割が発症1時間以内といわれていますので、早急に診断する必要があります。

要因と危険因子

 「静脈血栓塞栓症」が起こる要因には、@血液の凝固能の亢進(血液がかたまりやすくなる)、A血液の停滞(血のめぐりが悪くなる)、B血管内皮の損傷(血管壁の傷や損傷)があげられます。高齢の人や過去に血栓ができたことがある人も注意が必要です。

 具体的な危険因子として、血液凝固能の亢進には、妊娠やがん、経口避妊薬の使用、喫煙、脱水などがあり、血液の停滞には、長時間の旅行、臥床、肥満、妊娠などがあります。また、血管内皮の損傷には、外傷や骨折、カテーテルの挿入などが誘因となります。

深部静脈血栓症

 深部静脈血栓症の症状は、下肢の腫れや痛み、発赤、浮腫、表在静脈の拡張などです。診断には、診察所見の他にエコー検査やCT、MRIなどの画像診断、D-ダイマーという血液検査などが行われます。

肺血栓塞栓症

 肺血栓塞栓症の症状は、呼吸困難、胸痛、動悸、失神、冷や汗などがあげられます。診断は、心筋梗塞などの心臓病や肺の病気でないことを確認するとともに、造影CT検査や血流シンチグラム、カテーテルによる肺動脈造影などが用いられます。

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POINT 深部静脈血栓症は症状が出ないまま進行するケースが多くあります。また肺血栓塞栓症はいったん発症すると呼吸ができなくなったり、死に至ることもある危険な病気です。

深部静脈血栓症の治療

 深部静脈血栓症の治療には、抗凝固療法や血栓溶解療法などの薬物療法や手術療法があります。手術療法には、血栓を取り出す前に下肢の血栓が肺動脈まで流れるのを防止するため、前もって下大静脈フィルターを置く場合があります。

予防が重要

 「静脈血栓塞栓症」は予防が重要です。まずは、安静にしないこと。よく歩くこと。活動的な日常を送りましょう。入院中など歩けない場合では早期離床を目標として、ベッド上での足の運動やマッサージ、足あげなどを行いましょう。

 長時間の飛行機やドライブでは、定期的に運動をして血のめぐりをよくしましょう。また、普段から水分を適度に取って脱水にならないよう注意しましょう。

 理学的予防法としては、下肢を適度に圧迫して血流を増加させる弾性ストッキングや下肢にカフを巻いて、断続的にポンプで圧迫する間欠的空気圧迫法などがあります。

 また、リスクの程度に応じて抗凝固療法などの薬物療法が行われる場合もあります。

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  • 特集 (2017 春季号より引用)

ばね指の正体

 ばね指は、いわゆる手指に起こる腱鞘炎の一つです。この腱鞘炎は、指を動かす腱とそれを包んでいる腱鞘がこすれて、腱と腱鞘が膨れあがり、腱の通り道が狭くなって、指を動かす際に痛みをきたす症状です。

 症状は、指のつけ根や指先の痛みのほか、指の曲げ伸ばしの際に指が引っかかったように止まったりすることがあります。この引っかかるのが、「ばね」に似ているので、こう呼ばれます。悪化すると腱が滑らなくなり、指が曲がったまま動かなくなることもあります。

 ばね指が最も起こりやすいのは親指で、全体の約半数を占めます。次に多く見られるのは中指で、以下、薬指、人さし指、小指の順になっています。

 治療は手を使い過ぎないようにすることが原則となります。さらに痛みや炎症をとめる薬を飲んだり、塗り薬や湿布を使います。また、腱鞘内への炎症止めの注射を打ちます。注射の効果が十分でなく、症状が強い場合は、腱の通りがよくなるように、炎症のある腱鞘を切開する手術が行われます。

  • 特集 (2017 新春号より引用)

目指そう!健康長寿

低栄養を防いで健康維持

 肥満は、生活慣習病のリスクを増大させることから、食べすぎには注意が必要です。しかし一方で、高齢者の「低栄養」も問題となっています。

 厚生労働省の「国民健康・栄養調査」によると、65歳以上の2〜3割が低栄養状態であるという調査結果があります。高齢者が低栄養になりやすい理由として、食欲不振や咀嚼力・嚥下力などの身体機能の低下のほか、独居や高齢者のみの生活では、食事回数が減ったり、食事内容が偏りがちになるといった生活環境の変化も原因となります。

 低栄養状態に陥ると、筋肉量や筋力、免疫力、認知機能などに悪影響が出てしまいます。いつまでも自立度の高い生活を送るためにも、1日3食の食事はもちろんのこと、単品メニューにせず、バランスの良い食事を摂ることが大切です。特に高齢者には、さっぱりしたものだけを食べがちですが、肉・魚・卵・乳製品・大豆製品などのたんぱく質を多く含む食品を毎日1品入れることを心がけましょう。

  • 特集 (2016 秋季号より引用)

◇膝の痛みの原因と対策◇

「変形性膝関節症」とは

 日頃の診療の感想として「人間の身体って本当に精巧で良くできているな」と感じます。

 機械は使いはたし部品が壊れると自然に修理される事はありませんが、人間の身体には自己修復の能力がありかなり悪い状態から回復するのを目にするたびに感動を覚えます。

 とは言え、同じパーツを何十年も使い続ける訳ですから経年変化や度重なる損傷やトラブルの結果、困るような不具合も生じて来ます。特に60歳以上の方でお困りなのは膝の痛みです。

 「階段や坂の上り下りがつらい」「痛くて正座ができない」「歩くだけでも痛い」と言った膝の悩みを抱えている人は多いと思います。膝が痛む原因は若い頃には運動などによる外傷がなどが多いようですが、40歳代以降になって大きなきっかけもなく痛み出す場合は「変形性膝関節症」の頻度が高いと考えられます。

 人間の関節は緻密で複雑な構造をしており精密な機械に例えられますが、膝も長年使用しているうちに衝撃を緩和してくれる部分(半月板や関節軟骨)が次第に擦り減ってしまい、その結果痛みや膝の変形、進行すると歩行が困難になって日常生活に障害をきたすようになります。また膝関節に水がたまる腫れを感じる事も多いようです。男女比は1:4で女性に多く、高齢者になるほど罹患率高くなります。

 四本足の動物と比べて二足歩行の人類は全体重を膝で受け止めており、かつ加齢や過去の古傷、運動による損傷や運動不足による筋力の低下、肥満による負荷の増大など悪化要因は多々あります。また日本人の場合、畳での生活や正座、和式便器と言った最も膝関節に負担のかかる姿勢が日常生活で存在することが大きな悪化要因となっています。

【症状】

 初めの頃は長時間歩行した後や階段の昇降時に膝に痛みを感じる程度ですが、病気が進むにつれて痛みの程度も増し関節の屈曲障害も加わるため膝の裏がつっぱって真っ直ぐに伸びなくなり正座がしづらく膝の曲げ伸ばしの角度も悪くなります。さらに悪化すると短距離の歩行や安静時にまで痛みを生じ歩くのもつらく日常生活に支障を生じてきます。

【検査】

 レントゲン撮影や必要に応じてMRI撮影を行い、膝関節の骨の隙間を測定します。関節内の軟骨や半月板はレントゲンでは写らないため、骨同士のすき間の厚みが軟骨の厚みということになります。これが半分程度になっていればかなり進行期の変形性関節炎です。更にすき間が無くなってしまい骨同士がぶつかって見えるようになあると末期と判断します。

【保存的治療】

 治療として、破壊されている膝関節への負荷を減らすために体重コントロールをして、膝関節を支えるために大腿の筋力トレーニングなど努力します。  膝関節の炎症や痛みに対する治療としては経口鎮痛薬、湿布などの外用薬を、時にはヒアルロン酸やステロイドなどの膝関節内への注射も行います。

【外科的治療】

 進行期以上の膝関節症では、上記のような治療にも関わらず痛みが取れず歩行が困難な場合も多く、主な外科治療として関節鏡(内視鏡)手術や高位脛骨骨切り術、人口関節置換術があげられます。

 手術方法は破壊された部品を交換する人工膝関節置換術がもっとも効果的で長期成績も安定しています。人工膝関節置換術には関節全部を取り換える全置換術と悪い方の内側の軟骨だけ取り換える単類型置換術があります。

【予防】

 変形性膝関節症の予防・改善には下肢の筋力アップと膝の可動域を広げる運動が有効です。筋力トレーニングは大腿の前面の大腿四頭筋などの膝を支える筋肉を鍛えることにより、軟骨がすり減って不安定になった膝を安定化する効果が期待できます。具体的なトレーニングとしては椅子に腰かけた状態で膝をのばしたり、寝ている状態で脚を持ち上げるといった膝本体に負担をかけずに行える運動がよいとされています。ストレッチは、筋肉や腱をゆっくり伸ばすことによって関節の柔軟性を維持・拡大するとともに、筋肉の凝りや疲れを和らげる効果があります。回数は大腿の前の筋肉が適度に疲れる回数を設定し徐々に慣れに応じて増やしていきましょう。

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 膝の腫れや痛みの強い方は無理な運動療法をせずに早めに整形外科を受診しましょう。

 また前述したように正座や和式トイレなどの膝に負担をかける姿勢はさけて畳の生活から離れて椅子の生活に移行するのが進行予防のためには重要となります。

  • 特集 (2016 夏季号より引用)

水中ウォーキングのすすめ

 無理なく楽しくできる運動としてプールでの水中ウォーキングをしてみてはいかがでしょうか。

 水中ウォーキングのメリットには@浮力があるため、膝や腰に負担がかからない。A有酸素運動によって心肺機能を高め、血流がよくなって血圧を下げる。B水の抵抗と体温より低い水の中で体はより熱を発生させることもあり、多くのカロリーを消費することでダイエット効果がある。C心身のリラックス感やストレスの解消になる。−などがあげられます。

 プールに入る前に、まず準備運動やストレッチをしましょう。そして、いきなりプールに入ると心臓に負担がかかるので、最初の2〜3分は水に慣れるようにします。

 前方への歩き方は、背筋を伸ばして、腕は前後に大きくふり、初めは通常の歩幅から、慣れてきたら少し大股で歩いてください。足の裏全体で着くようにして、ももは大きく上げ、両腕で水を大きくかくようにします。水の抵抗があるので、腰が後ろに行かないよう、やや前傾姿勢にすることがコツです。

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 他に歩くときにウエストをひねったり、横歩きや後ろ向きもおすすめです。

 運動前に血圧を測定し、呼吸が乱れるような無理な運動はしないでください。途中での水分補給も大切です。

 20分以上1時間位まで、週2〜3回位行うと、数ヶ月過ぎた頃には、体重や血圧、血糖値にきっといい効果があらわれてくると思います。

  • 特集 (2016 春季号より引用)

春に多い肌トラブル

 寒い冬がようやく終わり、春の季節となりました。しかし、春は肌の状態がとても不安定になりやすく、一年で最も肌トラブルが起こりやすい季節といわれています。

 この時期に肌荒れ、湿疹、かゆみなどの肌トラブルを起こしやすい人は、次のような要因が関係していると考えられます。

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■空気の乾燥

 暖かくなってくると、冬の乾燥した季節から抜け出したと考えがちですが、実は、春はまだまだ乾燥状態にあります。さらに、春は風が強く、肌の水分が奪われやすくなります。

■ストレス

 新年度による入学や就職、転勤などといった急な環境の変化や、朝夕の寒暖差が激しい春は、心身ともに過剰なストレスを受けやすくなります。ストレスによる自律神経の乱れにより、皮脂の分泌量や肌のバリア機能のバランスをうまく保つことができなくなります。

■紫外線

 春になると、紫外線の量が急激に増加します。紫外線は夏だけ気をつけてえいる人も多いと思われますが、4月頃の紫外線量は残暑厳しい9月頃とほぼ同等の量と言われています。

■花粉症皮膚炎

 花粉症の主な症状である目のかゆみ、くしゃみ、鼻水は、目や鼻の粘膜にアレルゲンとなる花粉が付着することで起こります。

 さらに、花粉にアレルギー反応がある人は、まぶたや目の下、首回りなどの皮膚の薄いところに花粉が付着すると、かゆみや赤い湿疹が出ることがあります。

 このように、春は肌トラブルを引き起こす要因が多くあります。肌の保湿、ストレスの上手な解消、紫外線対策、洗顔などの習慣を身に付けて肌の健康を保ちましょう。

  • 特集 (2016 春季号より引用)

痛風、尿酸値にご注意

 「痛風」は名前の通り、「風に当たっても痛む」ほどの激痛が、多くは足の関節(特に親指の付け根が多い)におこる病気です。原因は、血液中の尿酸値が高い「高尿酸血症」です。

 尿酸は、細胞にある遺伝子に含まれるプリン体が肝臓で分解されてできますが、普通腎臓から排出されることによって、ふつうは血液中の尿酸は一定量に保たれています。

 尿酸が多量にできたり、うまく排出できないと「高尿酸血症」となって、それが結晶を作り関節にたまります。その結晶がくずれて、炎症を起こした状態が「痛風」です。

 「高尿酸血症」の人は、日本人では約500万人、そのうちの約1割が「痛風」を起こしてきます。ですから、「高尿酸血症」の人=「痛風」を起こす人ではありません。

 しかし、一度「痛風」を起こしてしまうと、しっかり治療していないと発作を繰り返してしまうやっかいな病気です。

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 また「高尿酸血症」は、腎障害、尿路結石、生活習慣病、心筋梗塞など合併症をおこすリスクが高いです。

 血中尿酸値は7mg以上が「高尿酸血症」です。数値の上昇に伴って「痛風」を起こす危険性は増します。それほど高くなくても、食べ過ぎ飲み過ぎが続いたり、ストレス、激しい筋肉運動をしたことをきっかけに起こすことがあります。

 男性に圧倒的に多く、肥満の人、アルコールをよく飲む人、肉や魚(特に内臓)が好物の人、水分をあまりとらない人などが「痛風」のリスクが高い人です。

 一度「痛風」を起こした人は、尿酸の結晶をなくすためにも薬物療法で尿酸値6mg以下を保つことが望ましいとされていますが、もちろん生活の改善が大切であることはいうまでもありません。

  • 特集 (2016 新春号より引用)

「インフルエンザかな?」と思ったら
  毎年のことですが、今年もインフルエンザが流行する季節となりました。インフルエンザと普通の風邪とはどのように異なり、何を注意すべきかについて今回はお話ししたいと思います。

【インフルエンザウィルス】

 インフルエンザウィルスにはA、B、C型が存在しますが、現在流行の中心となっているのはA型とB型です。流行する型は年度により異なりますが、Aソ連型(A/H1N1)、A香港型(A/H3N2)などが有名です。人類を滅亡においやる可能性のある強毒性のトリインフルエンザ(ブタインフル、A型H1N1の亜種)もマスコミの話題となり記憶に新しいと思います。

 普通の風邪と比較して、インフルエンザは感染力が強く流行が始まると短期間で爆発的な流行(大流行はパンデミックと呼ばれ過去には香港かぜ、スペインかぜなど世界中で多数の死者を出した歴史があります)を起こす特徴があります。流行する時期は日本では11−4月の冬期が多いのですが、外国や沖縄では夏に流行期があった事例もあります。これが学校では学級閉鎖、職場では勤務停止などの流行予防のための措置が取られる理由です。重症化する場合があり、乳幼児や学童ではインフルエンザ脳症により意識障害や死亡例がまれに存在し、また高齢者では続発する肺炎や脱水による死亡も少なくありません。

【症状の特徴】

 感染後、1−5日前後の潜伏期間の後に症状があらわれます。「発作は急激で症状が重い」といった特徴があります。鼻水、くしゃみ、咳、痰、喉の痛みなどの上気道炎症状を伴う事が多いため普通の風邪と混同されがちですが、インフルエンザウィルスは感染後体内での増殖スピードが速いため、症状が急激に進行します。

 一番の特徴は急な発熱と、関節痛、頭痛、全身の倦怠感です。悪寒やふるえを伴う場合も多いようです。まれに熱があまり上がらない場合もあり、熱の割に倦怠感や関節痛が強い場合はやはり感染を疑います。

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【感染が疑われたら】

 「インフルエンザかな?」と思ったら、早めの医療機関受診が大切です。その理由として以下の点があげられます。

 @迅速診断キットによって早期の確定診断が可能な点。
 発症直後ではウィルス量が少ないために発熱後12−24時間経過後に診断キットを使用することが推奨されています。鼻の奥や喉の粘液を綿棒でとって検査をしますが、15−30分前後で判定可能です。

 A診断確定すれば、適切な抗ウィルス薬の投与により自分自身が楽になるだけでなく、周囲への感染拡大も抑制できる点。

 B感染経路は飛沫感染で、くしゃみや咳で唾液や鼻水とともに遠くまでウィルスが飛び散るため、ウィルスを排泄している間は感染拡大予防のために仕事や学校は休まなくてはいけない点(目安は発症した後5日を経過し、かつ解熱後2日または3日です)。また伝染力が強いためマスクの着用や隔離など家族への感染にも注意が必要です。

【治療】

 以前はインフルエンザにかかったら、解熱剤を使用し自然に治るまで1週間前後おとなしく寝ているだけでしたが、ウィルスの増殖そのものを阻止する「原因療法」としてノイラミニダーゼ阻害薬であるタミフルが2001年に登場してから大きく治療が変わりました。現在では他にも数種類の抗インフルエンザ薬が開発され剤型もカプセル、吸入粉末剤、錠剤、注射薬が存在します。

 解熱と治癒までの期間を短縮でき自覚症状を軽減し重症化を抑制できる効果が期待されています。インフルエンザウィルスは増殖速度が速く、症状が出現してから48時間以内に増殖のピークが来る事が知られており、これらの抗ウィルス薬はなるべく早期に、遅くても48時間以内に服薬するのが効果的です。

 他にも「対症療法」も重要で安静と保温、水分や栄養の補給を心掛けたいものです。特に高齢者や持病のある方の場合は脱水症状及び心不全や肺炎の悪化に注意をする必要があります。

 高熱については解熱鎮痛薬が使われますが、副作用が少ないアセトアミノフェンが安全であり、アスピリンやボルタレンなどの解熱剤は危険なのでインフルエンザの場合は使用しないように言われています。そういった意味では市販の薬や家にある薬を自己判断で使用する場合は危険を伴う可能性があると言えるでしょう。

 また気道感染で黄色痰などの細菌の二次感染を合併していると考えられる場合は抗菌剤を併用したり、また咳止めや痰切り、鼻水の薬も使用します。

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【ワクチンと感染予防】

 他の風邪とは違いワクチンの存在している点が心強いです。摂取後2週間後くらいから効果が現れ5ヶ月程度効果が持続します。本年度からA型2種類、B型2種類の四価ワクチンとなりさらなる予防効果が期待されます。

 ワクチンは専門家が多方面の調査を行い、その年度にどの型のインフルエンザが流行するかを予測して生産をしますが、予想が外れる年も存在するのが現状です。

 最近では、高齢者に公費で補助がでる自治体が多くなってきました。ワクチンの供給は10月初めから始まります。その年度の流行状況によって事情は左右されますが流行の始まる前の10−11月に接種するのが適当です。

 接種回数は一般的には13歳未満は原則として2−4週間の間隔をおいて2回、13歳以上の方は1回ですが、受験などの特殊な事情のある方や、ステロイド内服中や抗がん剤使用中の方また基礎疾患があり感染に注意しなければならないハイリスク群の方は成人でも2回の接種をお勧めしています。

 インフルエンザウィルスの活動は湿度が60%を超えるとかなり低下する事が知られています。予防対策として部屋の加湿も重要です。部屋の換気に加えて、加湿器を使用する事も効果的です。またマスクの着用も推奨されています。(インフルエンザウィルスは大変小さいためマスクで侵入を予防する事はできませんが、マスクを着用した状態では自分の吐いた息の温度と湿度が保たれた状態でまた息を吸い込むため、喉や鼻を良い状態に保てます。)他には寝不足や疲れを残さない、頻繁にうがいをして喉を湿らせるなどの習慣も効果的です。外出後は身体や顔にウィルスが付着している場合もあり、うがい、手洗い、洗顔も大切です。

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【最後に】

 ワクチンは「個人がかからない」と言う意味だけでなく、「集団での大流行を予防する」と言った非常に重要な意味を持ちます。また一人一人がかからないように注意し、もし自分がかかった時にうつさない努力や対策を実践することがエチケットです。流行のピークはこれからの1月から2月です。予防接種をうけているからといって安心しないで、十分に注意をしてこの時期を乗り切られる事をお祈りしております。

  • 特集 (2016 新春号より引用)

目指そう!健康長寿
〜散歩のススメ〜

 日本人の平均寿命は世界トップクラスですが、単に長生きをするだけでなく、介護が必要ない自立した健康的な生活を送る「健康寿命」をいかに延ばすかが大きな課題となっています。

 ご高齢でも元気な人は、足腰が丈夫なことがよく見受けられます。身体機能には、「使えば発達し、使わなければ衰退する」という原則があります。体力に自信がないという人は、まずはご近所を散歩することから始めてみるのも良いでしょう。

 週3回以上、15分以上の散歩を習慣としている人では、要介護の状態になりにくく、認知症を予防できるというデータもあります。散歩を習慣の一つとして日々の生活に取り入れば、それも立派な運動と言えます。

 ただし、特に寒い季節に散歩する際には、いつもよりたっぷりと時間をかけてウォーミングアップのためのストレッチを忘れずに行いましょう。

  • 特集 (2015 秋季号より引用)

足のしびれの原因は?
〜背景にさまざまな病気〜

 足のしびれる原因にはいろいろあります。急性に起こったしびれでは、正座をした時に感じる一時的で心配ないしびれから、脳卒中によるしびれのように緊急性を要するしびれまでさまざまです。

 慢性的に起こるしびれの原因としては、「腰部脊柱管狭窄症」、「椎間板ヘルニア」などの整形外科領域の病気、「閉塞性動脈硬化症」、「バージャー病」などの血管が原因の場合、「糖尿病性神経障害」、「帯状疱疹後」、「膠原病」などの内科的要因が関係しているものなどがあります。

 また、パニック障害や過換気症候群など、精神的な要因で怒ることもあります。

 しびれを起こすいくつかの代表例をあげます。

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@腰部脊柱管狭窄症

 背骨の後方にある骨に囲まれた穴が「脊柱管」で、その中を神経の束が通っています。加齢や長いあいだ腰に負担をかけることによって、骨の変形をきたし神経を圧迫するために起こります。

 症状として、腰痛や下肢の痛み、しびれ、間欠性跛行(歩いていて痛みやしびれによって歩くことができなくなりますが、しばらく休むことによって楽になり再び歩けるようになる症候)があげられます。

 運動療法、温熱療法などの物理療法、薬物療法、コルセット、ブロック療法が行われますが、重症例では手術になります。

A腰椎椎間板ヘルニア

 背骨の骨と骨をつなぐ椎間板に亀裂ができて、椎間板の組織の一部が飛び出して神経を圧迫することによって起こります。

 腰痛と下肢の痛み、しびれなどが出現し、治療としては薬物療法や物理療法など保存的に行いますが、症状等によっては外科療法が必要になります。

B閉塞性動脈硬化症

 下肢の動脈に動脈硬化が起こり、血管が狭くなったり詰まったりして足への血流が極端に減ることによって、足の痛みとともに歩行障害が出現する病気です。

 症状は重症度によって、T度:軽症でまだ明らかな症状がない、U度:一定距離歩くと足の痛みが出現し、数分休むとまた歩けるようになる間欠性跛行の時期、V度:歩かなくても痛みを感じる安静時陣痛時期、W度:細胞が生きて行くための血流がないため潰瘍ができたり、壊死を起こしてしまう時期の4段階に分けられます。

 両腕と両足の血圧を同時測定するABI検査が、この病気の可能性を探る検査として有用です。

 薬物療法やカテーテル治療、バイパス手術などの血行再建術が行われますが、壊死した部位などは切除を余儀なくされます。

 動脈硬化は生活習慣病です。糖尿病、高血圧、脂質異常、喫煙、肥満が主なリスクファクター(危険因子)ですので、それらのコントロールが重要です。

C糖尿病性神経障害

 糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症とともに糖尿病の三大合併症のひとつです。

 長いあいだの高血糖の持続によって、運動神経、知覚神経が障害され、しびれや痛みが起こって来ます。症状は足の先端の方に強い特徴があります。

 自立神経障害として、起立性低血糖や神経因性膀胱、消化管運動障害が現れる場合があります。

 治療は神経障害進行に関わる代謝異常改善薬、循環改善薬、鎮痛薬などが使われます。

 糖尿病は閉塞性動脈硬化症のリスクファクターでもありますので、糖尿病をコントロールすることがもちろん大切です。

 しびれを感じたら、いつから、どのような種類で、どの場所に、どんな時におこるかなどの症状を正確に医師に伝えることが診断への近道です。

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  • 特集 (2015 夏季号より引用)

ストレッチの効果

 日頃から、運動や体操、ストレッチなどでからだを動かしている習慣がないと、年齢とともにからだの柔軟性はなくなってしまいます。

 ストレッチは1960年代に考案され1980年代に一般に広まりました。ストレッチは筋肉を意識的に伸ばすことによって、筋肉の柔軟性や敏捷性、関節の可動域を改善させる効果があります。運動前後の準備運動や整理運動としても行われます。

 またストレッチは、美しい姿勢の保持や気分をスッキリさせるリラクゼーション効果、血流を良くするための動脈硬化防止効果もあると言われています。

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 基本的なやり方の注意点としては、痛みを感じない程度に、呼吸を止めないで、反動をつけずに行うことです。伸びている筋肉に意識を集中して、15秒から30秒間位かけて行いましょう。

 実際のストレッチの方法は、写真やイラストなどわかりやすく解説してある本や実際に普段から行っている人に聞いたり、理学療法士に相談するといいでしょう。

 ストレッチは道具もいらず、いつでもどこでもできますが、熱が出ていたり、食直前後、飲酒後、疲労している時は避けましょう。また、骨や筋肉、関節の病気を持っていたり、病気をしたばかりの方は無理をしないで主治医と相談してください。

 老若男女を問わず、誰でもできるストレッチ、楽しく、笑顔で継続して行うことが大切です。

  • 特集 (2015 春季号より引用)

首のエクササイズ

 慢性的に首の痛みを感じている人の中には、背中を丸めて首と頭を前方に突き出した“猫背”の姿勢をとっている場合が多いようです。長時間悪い姿勢を続けていると、首に負担がかかり、筋肉の疲労から痛みにつながりやすいのです。このほか目の疲れやストレスがあると、交感神経が興奮し、筋肉が緊張して血流が悪くなって首に痛みが起こりやすくなります。

 日常生活の中で首に負担のかかることを見直し、改善しましょう。まず悪い姿勢をとらないよう気をつけるとともに、同じ姿勢を長く続けないことです。また血流をよくするために過度な運動、入浴して体を温める、蒸しタオルで首を温めることも効果的です。

 悪い姿勢によっておこる首の痛みは、首の筋肉を鍛えるエクササイズで改善できる場合があります。しかし、首の痛みの原因となる病気には変形性脊椎症、椎間板ヘルニアなど、さまざまな病気があり、エクササイズをしても痛みがとれない場合には、かかりつけの医師に相談しましょう。

首の筋肉を鍛える
エクササイズの一例

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1 おでこに片方のこぶしを当てて、これを軽く押し返すように首に力を入れて5秒間

2 同様に後頭部にこぶしを当てて5秒間

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3 頭の右側面に手のひらを当てて右に首をかしげて5秒間

4 左も同様に5秒間

これらを1セットとして、たとえば1日10セットくらい行えば十分でしょう。実際には首を動かさず、手を軽く押し返すように首に力を入れるのがポイントです。

  • 特集 (2014 秋季号より引用)

足のむくみ(浮腫)

 足のむくみを気にされて外来をおとずれる方は多くみられますが、「むくみ(浮腫)とはどのような原因でおこり、何か心配しなくてはいけない事があるのか?」について今日はご一緒に考えてみたいと思います。

<太ったの?むくんだの?>

 太って皮下脂肪が増えたのと、むくみとはどのように異なり、区別がつくのでしょうか?

 浮腫とは「皮下組織に余分な水分が貯留したためにおこる一時的に腫れた状態」と言いかえられると思います。一番簡単な鑑別点は指で押した時に脂肪の貯留の場合は弾力がありすぐにもとに戻りますが、浮腫の場合は数秒から数分ひっこんだ跡が残ります。また靴下の跡がへこんだまま戻らないのも特徴です。

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 浮腫は女性や高齢者に多く見られ、一日中立ちっぱなしの仕事やデスクワークでも動かないで足を下げて座っていたりすると、夕方になって靴がきつく感じたり足がパンパンになり指で押すとその跡がくっきりと残った経験は多くの方があると思います。

 浮腫は血液の循環と深いかかわりがあります。心臓のポンプの働きにより私達の体内では動脈を血液が流れ水分や栄養分そして酸素を抹消の細胞に供給する役目を果たしています。一方それと同時に細胞内で不要となった水分は静脈やリンパ管に戻り再び体内を循環し心臓そして腎臓に運ばれ処理されます。抹消でこのシステムが効率良く働かず水分がスムーズに静脈やリンパ管に戻れないため、組織の間に戻るべき水分が溜ってしまった状態が浮腫の本態と言えるでしょう。

<むくみを引き起こす原因>

 浮腫の原因としては、これらの水分循環にかかわる多くのトラブルの可能性が考えられます。心配のいらない一過性のものもあれば、血管や肝臓、または心臓の障害などの重大なトラブルの危険サインの場合もあります。

@長時間の起立状態

 人間は重力のある地球上で二足歩行をしており、立位では足は一番下に位置し心臓は、はるかに高い場所にあります。井戸のように効率よく足の水分を心臓に戻すためには、静脈には逆流防止のための弁がついています。しかしながら長時間にわたり立っている姿勢が続きかつ筋肉の動きが無い状態では、静脈の圧が高くなり戻ろうとする水分を受け入れる事が困難となり重力に負けて水分は足に溜ってしまいます。このような理由では長時間の立ち仕事の方は夕方になると足にむくみがでる事が多いのです。

A運動不足による冷え性や血行不良

 足の筋肉が収縮する事により、血液を循環させるポンプの補助的な役目を担っていますが、運動不足により足の筋肉が衰えたり、同じ姿勢で筋肉を使わないで立っていると足がむくみやすくなります。

B下肢静脈瘤

 前述したように静脈には血液の逆流を防ぎ効率良く水分を心臓に戻すために静脈弁が存在しますが、この静脈弁が破壊されると静脈が蛇行拡張し特に立位で目立つようになります。足の膝の裏やふくらはぎなどの目立つところに好発し下肢静脈瘤と呼ばれます。女性ではスカートをはいた時などに目立つため美容的に気にされて外来におとずれる方が多く見られます。下肢静脈瘤のある方はやはり血液が足に貯留するため浮腫の原因ともなり、悪化すると肌の黒ずみや湿疹やかゆみ、血流障害による皮膚潰瘍などのトラブルの原因ともなります。

C甲状腺機能低下症

 橋本病という名称でも知られる病気で、甲状腺で充分な量の甲状腺ホルモンが産生されないために全身にさまざまな症状をもたらします。その一部として顔やまぶたのむくみや下肢の浮腫がおこる事があります。

D心不全(うっ血性心不全)

 心筋梗塞後や心筋炎などで、心臓のポンプとしての能力が低下すると戻ってきた血液を充分循環し処理できないために浮腫の原因となります。

E肝臓の病気

 血液の中の大事な成分としてタンパク質の一種であるアルブミンがありますが、栄養としてだけでなく血管内に水分を保持する重要な役割を担っています。

 アルブミンは肝臓で作られるため、肝硬変や劇症肝炎などで肝臓の機能が低下するとアルブミンの産生低下から低アルブミン血症におちいり、血管内の水分が血管外に逃げるため浮腫の原因となります。さらに漏れ出た水分がお腹の中にたまると腹水が貯留する異常な状況となります。

F腎臓の病気

 腎臓は体内の老廃物や余分な水分をろ過して尿として体外に排泄する重要な役割をもっています。この機能が阻害される(腎不全)と全身の浮腫が出現します。またネフローゼ症候群と言う病気を耳にしたことがあると思いますが腎臓のトラブルで血流中のアルブミンをどんどん尿中に排泄してしまう状況では低アルブミン血症から強い浮腫をおこす事があります。

<浮腫が気になったら>

 多くの場合は抹消の血液循環やリンパ液の循環に起因した心配の必要の無い浮腫ですが、中には心臓や腎臓、肝臓の大きなトラブルが原因の可能性があり、医療機関を受診し、血液検査や尿検査、心電図や胸部レントゲンなどで精査を行います。

 特に慢性的な浮腫が1週間以上持続したり、急激な体重の増加(溜っている水による)や息苦しさや動悸を感じる場合は要注意です。

 塩分は体内に水分をため込む作用があり多くの日本人は明らかに過剰に塩分をとっているため、どの種類の浮腫でも塩分制限が重要になってきます。

<心配無い浮腫への対応>

 抹消の血液の循環の問題と安心できたなら、セルフケアとして、血液の循環を促すマッサージや足の屈伸運動、青竹踏み、足枕、足湯などの方法があげられます。

 また静脈弁ストッキングの破壊などの問題がある場合は男性(医療用ストッキング)も有効です

  • 特集 (2014 秋季号より引用)

足腰の衰え
〜ロコチェック〜

 加齢とともに運動器(骨・関節・筋肉)の障害のために介護が必要になったり、寝たきりになったりする危険性が高い状態を「ロコモティブシンドローム」、略して「ロコモ」と呼ばれています。

 足腰が衰えて「ロコモ」が心配な方は、是非「ロコチェック」をしてみましょう。

 「ロコチェック」とは、身体を移動させる能力の低下具合を7つの項目で確かめる方法です。

@片脚立ちで靴下がはけない。
A家の中でつまづいたり滑ったりする。
B階段を上るのに手すりが必要である。
C横断歩道を青信号で渡りきれない。
D15分くらい続けて歩けない。
E2Kg程度(1リットルの牛乳パック2個程度)の買い物をして持ち帰るのが 困難である。
F家のやや重い仕事(掃除機の使用や布団の上げ下ろしなど)が困難であ る。

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 「ロコチェック」で、一つでも日常的に当てはまれば「ロコモ」の可能性があります。

 思い当たることがありましたら、今からロコモーショントレーニング(ロコトレ)をはじめましょう。具体的には、開眼片脚立ち、スクワット、ストレッチ、ラジオ体操、ウォーキング、スイミング、座っての関節の曲げ伸ばしなどがありますが、自分にあった安全な方法で行いましょう。よくわからない方は、主治医の先生と相談してみてください。

  • 特集 (2014 夏季号より引用)

ぎっくり腰

〜対処の仕方と再発予防〜

 皆様の中にも繰り返す「ぎっくり腰」で悩んでいらっしゃる方も多いと思います。

 いわゆる「ぎっくり腰」は重たいものを持った時や腰をねじった時などの過度の動作以外でも、咳やくしゃみをしたり、顔を洗ったり床のごみを拾おうと前屈みになった時などの軽微な動作でも起こる場合があります。

 前触れもなく「ある瞬間に突然ぎっくり」と強い痛みに襲われると言ったいやな病気ですがこのような急激な腰の痛みの総称として使われ、正式には「急性腰椎症」と言います。ドイツでは「魔女の一撃」と言う呪われたニックネームがついています。

 痛みの生じるメカニズムには、色々な原因や病態が含まれますが、多くは証明不能です。原因として頻度の高そうなものは腰椎椎間関節の捻挫や椎間関節の関節包のねじれやゆがみによるもの、腰背骨の筋膜損傷(肉離れ)や腰椎椎間板ヘルニアなどではないかと予想されています。

〈症状〉

 突然おとずれた強い腰痛のため歩行困難となり、力を入れる事ができず、動作が制限されます。全くその場から動けなくなる人から、へっぴり腰になり杖を使ったり物につかまったりすればなんとか歩ける人もいて、その症状や程度にはかなりの個人差があります。可能ならすぐに横になるのが好ましいのですが、姿勢としては「膝を軽く曲げてエビのように横向きで寝る」「あおむけに寝て膝の下にクッションを入れる」「低めの台や布団に足を乗せて横になる」と痛みが軽くなる人が多いようです。

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〈原因の検査〉

 ほとんどが原因疾患の証明が困難と言われ、頻度的には前述した筋膜性腰痛や椎間関節性腰痛などが根底になっていると考えられます。これらの変化を画像診断で証明する事は困難ですが、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄、重度の脊椎すべり症、骨粗しょう症による脊椎圧迫骨折など他の腰痛の原因の有無を確認するため整形外科を受診し腰椎のレントゲンやMRIを行う場合があります。

〈痛みが起こったら〉

 楽な姿勢で安静にしていることで多くの場合は自然に回復していきます。つらい場合は対処的に痛み止めの飲み薬や座薬、湿布などを使う事はさしつかえありません。痛みの強い時期は無理をしない方が無難ですが、ほとんどの場合2〜3日で痛みは軽くなっていきますので、いつまでも安眠臥床を続ける必要はなく無理をしない範囲で日常生活にもどっていきましょう。特に高齢の方の場合は長期間の安静は筋力の低下をまねき、逆に回復が遅れることがあります。

 一方じっと横になっていても強い痛みが続いたり、日を追うごとに痛みが増強する場合や、脚のしびれや排尿障害を伴う場合は別の病気が原因で腰痛を起こしている可能性があり、整形外科を受診し精査が必要です。

〈薬物療法〉

 痛みに対しては痛みを抑える非ステロイド系消炎鎮痛薬の内服や座薬、湿布が処方されます。腰背筋の筋膜損傷(肉離れ)の場合には筋肉の緊張をやわらげるために筋弛緩剤を用いる場合があります。また抗不安薬や抗うつ薬を併用する場合もあります。

 一時的に腰への重力負荷を減らし安静を保つためにコルセットやテーピングを用いたり、痛みが強く日常生活にひどく差し支えのある場合はブロック注射を行う事もあります。

〈予防〉

 ぎっくり腰を繰り返す方をしばしば見受けますが、統計では1年以内に約1/4の方が再発すると言われています。これは過去に傷めた腰の関節や筋膜が、加齢や老化により緩みやすくなっているためだと考えられます。予防のためには腰の骨を支えている筋肉や靭帯を鍛える事が効果的です。腰痛体操の基本は腹筋と背筋の筋力強化と腰と下半身の柔軟性を高めるストレッチングです。自分にあった体操で日頃から筋力を強く保つ習慣をこころがけましょう。また「腰への負担を軽減するために体重を減らす」などの努力も効果的です。日常生活の注意としては腰が沈み込むような柔らかいマットレスで寝たり、踵の高い靴を長時間履くなどの腰に負担をかける習慣は控えましょう。

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 引き金となる動作については必ずしも負荷の大小とは相関しませんが、ある一定の動作や状況に思い当たる節のある方も多いと思います。重いものを持ちあげる必要のある時は前屈姿勢や中腰はさけて、重量挙げの要領で脚を開いて腰を落としゆっくりと持ち上げるようにしましょう。急に腰をひねったり伸ばしたり、床のごみを拾おうとしたり歯磨きや靴を履く時などの前屈みの姿勢での動作は避けるようにします。また激しい運動や腰に負担がかかるような無理な姿勢はとらないように気をつけます。また急激な温度変化や体の冷えも要注意です。長時間の同じ姿勢、不自然な姿勢での動作なども筋肉が硬くなり発作の引き金になるため、デスクワークや車の運転の際には一定時間に一度はストレッチをしたり動いたりするのも効果的です。

  • 特集 (2014 夏季号より引用)

夏かぜ(ヘルパンギーナ)

 ヘルパンギーナは、乳幼児を中心としておこる夏に流行するウィルス感染症の一つです。症状は、突然の高熱とのどの痛みです。のどの奥に水泡ができてえ、それが破れて潰瘍ができます。痛みで食べ物を飲み込むのがつらくなります。

 エンテロウィルス属のコクサッキーA群ウィルスが主な原因ですが、いろいろ亜型のウィルスがあるために何回もかかることがあります。

 発熱は1〜3日、のどの痛みは3〜5日続きます。合併症として、まれですが無菌性髄膜炎と心筋炎が起こることがあります。

 このウィルスに効く薬はありません。対症療法が中心となります。高熱と咽頭痛、頭痛、吐き気などから十分な食事がとれないと脱水症状を起こします。水分や栄養の管理が重要です。刺激の少ない、硬くないもの(お粥、プリン、ゼリー、ヨーグルト、アイスクリーム、豆乳、麦茶、イオン飲料など)をとってください。

 また、高熱には解熱剤を使用しますが、使いすぎないよう注意しましょう。熱性けいれんにも注意が必要です。今まで起こした人は予防的に抗けいれん罪を使用してください。

 症状がおさまって、普通に食事がとれるようになれば、登園、登校はできます。

 ウィルスは2〜3週間、糞便中に排出されますので、手洗いや糞便の処理などに注意して感染予防につとめましょう。

  • 特集 (2014 春季号より引用)

筋肉痛の正体

 筋肉痛は「筋肉の微細損傷」が主な原因であるといわれています。筋肉線維が損傷を受けると、損傷部分が炎症を起こし、浮腫が生じます。この炎症と浮腫が筋肉痛の正体と考えられています。

 一方、運動直後に筋肉に痛みを感じる場合もあります。これは急激な運動中に、筋肉で大量のエネルギーが燃やされ、その燃えカスともいうべき老廃物である「乳酸」が大量に作られ、それが筋肉にたまって痛みや炎症を引き起こすことも考えられています。

 運動後、まだ痛みが出ていないときは、お風呂に入って温めたり、軽いマッサージ、軽い運動をするなどして筋肉中の血液循環を促しましょう。しかし、強い痛みが発生(激しく炎症)した場合は、アイスパックなどで冷やし、炎症を抑え、痛みを一時的にでも軽くした方がよいでしょう。このようなケアをすることによって、筋肉痛が早く和らぐでしょう。

 筋肉痛を予防するには、運動の前に必ずウォーミングアップをすることが大切です。次に、気持ちいいと感じる程度にストレッチングをして手足やからだを良く伸ばしておきましょう。少しずつ伸ばしていき徐々に負担を大きくしていくことが大切です。

  • 特集 (2014 春季号より引用)

骨粗鬆症と生活習慣病

 「骨粗鬆症」は、骨の郷土が弱くなって骨折しやすくなる病気です。高齢化に伴って急速に増加していて、日本には約1,000万人以上の患者さんがいると言われています。骨折を機会に寝たきりになったりして、自立した生活に支障をきたすケースも少なくありません。

 一方、高血圧や糖尿病、脂質異常症といった「生活習慣病」は、動脈硬化を引き起こし、その結果、脳卒中や心臓病などを発症することによって、活動の制限が生まれてきます。
 「生活習慣病」もまた骨折のリスクファクターといわれています。

 骨は常に一つの臓器でそのまま変わりなく存在すると思いがちですが、骨も常に古い骨が壊され(骨吸収)、新しい骨に入れ替わる(骨形成)新陳代謝が行われています。骨の強度は、骨密度(骨量)と骨質も大事な要素です。骨量はカルシウムやミネラルが、骨室はタンパク質から得られるコラーゲンが大事な成分です。

■「骨粗鬆症」の特徴■

(1)カルシウムを中心とした骨吸収と骨形成とのバランスが崩れた状態が持続するため、少し悪い表現ですが、いわゆる”骨がスカスカ”になってしまいます。

(2)必要以上のカルシウムが血液中に溶け出すことによって、血管の細胞に沈着すると血管は硬くなり”動脈硬化”を起こしてきます。

(3)圧倒的に女性、特に閉経後の女性に多く、その理由として女性ホルモンの減少と加齢が関係していると考えられます。

■骨折がよく起こる場所■

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@大腿骨頸部骨折(太ももの付け根):手術が通常必要で、寝たきりの原因となります。

A橈骨遠位端骨折:転んだ時に手を付いた時によく起こる手首の骨折で、しばらくのあいだ固定とリハビリが必要です。

B脊椎圧迫骨折:背骨の骨折です。コルセットなどによる安静が必要です。

 ところで「生活習慣病」のリスクファクターとして、喫煙や肥満、過度の飲酒、運動不足、偏食などがあげられます。

 最近注目されている「慢性腎臓病」や喫煙の影響が強い「慢性閉塞性肺疾患」も生活習慣病といわれています。「骨粗鬆症」も悪い生活習慣から発症しやすくなります。

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■骨粗鬆症と糖尿病■

 生活習慣病の中で、最も「骨粗鬆症」と関係する病気は、「糖尿病」で、同じ骨密度であっても1型糖尿病で約7倍、2型糖尿病で約2倍「骨折リスク」が高いという報告があります。

 糖尿病は、インスリンの分泌低下と作用不足から起こります。

そのため

@インスリンの骨芽細胞増殖作用の低下によって骨形成が低下します。

Aインスリンの作用不足によって、血糖が上昇するため尿量が増加し体内のカルシウムが 減り、同時にマグネシウムも減り副甲状腺ホルモンの分泌低下によるカルシウム排泄作用によってさらなるカルシウム不足となります。

Bカルシウムを腸から吸収するために必要な活性型ビタミンDはインスリンの働きによって腎臓で作られますが、その作用が低下して活性化ビタミンD不足になります。

C高血糖のために、骨の柔軟性を保つ正常なコラーゲンが減ってしまいます。

 以上のような要因で骨折が起こりやすくなります。

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 「骨粗鬆症」を予防するには、”カルシウムを十分とること””ビタミンD、K、リン、マグネシウムをとること””カルシウムの吸収を抑える喫煙をやめ、アルコールは控えめにすること””適度なタンパク質をとること””適度な運動を心がけること””ビタミンDを合成するために日光浴をすること”などがあげられます。

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 年齢とともに低下する骨密度。特に女性ではそのスピードが早いので、少なくとも数年に一度は検査しておくことをお勧めします。そして、その成績によってはかかりつけの先生に相談して下さい。

  • 特集 (2013 春季号より引用)

五十肩(肩関節周囲炎)

 五十肩は、肩の痛みと肩関節の運動障害や運動制限を主訴とする病気です。40代、50代を中心に起こるため、四十肩、五十肩と呼ばれていますが、正式には肩関節を覆っている関節包の炎症で、「肩関節周囲炎」といいます。実際には30歳から70歳代と幅広い年代で起こります。

 発症してから約3ヶ月の急性期は、痛みの激しい時期ですので、安静にして消炎鎮痛剤の飲み薬や湿布による対症療法が中心となります。時には、局所麻酔薬やステロイドホルモン剤、ヒアルロン酸などを肩関節に注射することがあります。
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 急性期を過ぎて、痛みが少しおさまってきたら、状態に応じた薬物療法に加えて運動療法を開始します。

 五十肩は、炎症が軽ければ放置しても自然に症状がよくなることがありますが、炎症が強い人では、組織の癒着により最終的に肩関節の動きが制限されることがありますので注意が必要です。

 動かしにくくなっている肩関節の動きをよくするような運動を、適度な強度で無理なく長く続けるようにします。

 一年以上経ちますと痛みはほとんどなくなり、回復期に入ります。運動療法を積極的に行うことが大切です。このように、五十肩は約2年ととても長い経過をたどるのが特徴です。


  • 特集 (2013 新春号より引用)

肩こりの原因と姿勢チェック

 日常生活の何気ない姿勢にも肩こりの原因が潜んでいます。こりや痛みは、悪い姿勢によって、首から肩、背中にかけての筋肉の血行が悪くなり、硬くなることで起こります。解消するには日ごろから正しい姿勢をとることが大切です。

 立っているときの姿勢は、壁を背にしてふだん通りに立ってチェックします。かかとを壁から5pほど離して立ち、「頭が壁につく」「あごをひく」「肩を壁につける」「おなかをへこませる」のがよい姿勢です。

 座るときの姿勢は、膝頭と股関節が同じ高さになるように調節したいすに深めに座り、おなかに軽く力を入れ、あごを軽く引きます。頭をまっすぐ上につられているような感じで力を抜くとリラックスできます。

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■肩こり解消体操■

 こりによっていかり肩になっている場合は、まず両肩を軽く上げ、リラックスしてストンと落とします、手をお尻の後ろ側で組んで、肩をさらに肩甲骨ごと下げます。このときおなかが出ないように注意しましょう。

 なで肩になっている場合は、腕を横に開いてひじを曲げ、肩より高い位置にし、肩甲骨ごとぐっと持ち上げ、そのまま力を入れて5秒ぐらい止めます。このとき、肘を伸ばすのではなく、肩甲骨から上げることがポイントです。

 それぞれ10〜20回ずつ、気づいたときに行いましょう。

  • 特集 (2013 新春号より引用)

どう違う? インフルエンザとかぜ

 インフルエンザやかぜが流行する季節となりました。どちらも、のどの痛み、鼻水、くしゃみ、咳といったような上気道の症状と発熱がみられる似たような病気ですが、インフルエンザとふつうのかぜはどう違うのでしょか?

 通常のかぜは、上気道の症状からはじまり、発熱も全身症状もそれほどではなく重症化することはほとんどありません。

 一方、インフルエンザは感染力が強く、いきなりの高熱(38℃から40℃以上)と全身症状(関節痛)、頭痛、筋肉痛など)からはじまります。特に、高齢者や呼吸器や心臓病などの慢性の病気がある人では気管支炎や肺炎を併発し、時に命取りとなります。また小児では肺炎以外にも中耳炎や熱性けいれん、時には脳症を合併することがあり注意が必要です。

        ●インフルエンザとかぜ●

           インフルエンザ    かぜ
症状の出方    全身に出る        のどや鼻
進行         急激             ゆるやか
発熱         38度〜40度の高熱   微熱
寒気         強い             軽くある
せき         たくさん出る        軽く出る
頭痛         痛みが強い        痛みが軽い
筋肉・関節痛    痛みが強い        痛みが軽い
合併症      気管支炎・肺炎など   少ない

 インフルエンザの診断は、最近では簡易検査キットが普及し、100%ではありませんが鑑別が容易になっています。また、発症48時間以内に薬物治療を開始すると、ウィルスの増殖を抑えて早く回復するようになりました。

 しかし、逆に早く症状がおさまるので、まだ感染する可能性がある時期に登校や出勤するようになったことも問題となり、平成24年4月の学校保険法改正で出席停止期間が延長になりました。

 また、インフルエンザではワクチンも有効で、発症そのものや重症化を抑制する効果があるといわれています。

  • 特集 (2012 秋季号より引用)

【口唇ヘルペス】

  口唇ヘルペスは、単純ヘルペスウィルスの感染症で、唇に小さな水ぶくれができる病気です。俗に「熱のハナ」とも呼ばれ、風邪などで熱が出た後にできることがあります。

  皮疹が出る前にかゆみや軽い痛みがあり、その後に唇に小さな水ぶくれが5〜6個集まってできます。放置していても1〜2週間でかさぶたとなって治ることが多いのですが、再発を繰り返すことがあります。

  口唇ヘルペスは、20歳頃までにほとんどの人がかかっています。そしてこのウィルスは人の神経節にずっといて人間と共存しています。いつもはじっとしているのですが、日光に当たり過ぎたり、冷たい風に当たったり、疲れていたり、ストレスがたまったりしたときなどに発症します。

  口唇ヘルペスを繰り返す人は、強い日光を避けたり、過労にならないようにして再発を予防することが大切です。

  現在、ヘルペスウィルスを抑える薬がありますので、症状のひどい場合や早く治したいときは、かかりつけの医者に相談してください。

  • 特集 (2012 春季号より引用)

気になる手のしびれ
〜種類も原因もさまざま〜

 手がしびれた経験は何度かあると思います。「手のしびれ」と一口に言ってもその種類は色々あり、また原因も様々です。程度が軽ければ一見軽視しがちですが、しびれ自体が不快で困る場合もあれば「もしかしたら重大な病気が原因では?」と不安に思う事も多いと思います。

 「しびれ」の局所的な原因としてはまず神経の圧迫があげられます。頚部の脊髄神経根から手までの間には3本の末梢神経(正中神経、尺骨神経、橈骨神経)があり、これらの神経はいくつかの狭い隙間を通っているため、通り道のどこかで骨や筋肉、靱帯などで神経が圧迫されるとしびれや運動障害を生じます。それ以外の原因としては局所の血流の障害や他の全身疾患やまた脳や脊髄の病気でもおこる場合もあります。
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【手根幹症候群】

 手が単独でしびれる場合に最も頻度が高いのは「手根幹(しゅこんかん)症候群」と呼ばれる病気です。手のひらの付け根には手首の骨と靱帯で囲まれた手根幹とよばれるトンネルがあり内部を複数の腱とともに正中神経が走っています。この部分で正中神経が圧迫されるために、手のひら側の親指、人差し指、中指、薬指の中指側半分のしびれを生じます。

 女性に多く、フライパンを使った料理などの手根幹を圧迫する動作で症状が現れやすい特徴があります。指のしびれを放置すると指先の感覚が鈍くなり、親指と他の指を向かいあわせる動作が難しくなるため物がもちづらくなると言う症状があらわれてきます。病気が進むと親指の付け根の部分の筋肉がやせてしまう場合もあります。

 治療は手首の安静のために装具を使用したり、局所にステロイド注射を行うなどの治療法が一般的ですが、再発を繰り返す場合は手術で圧迫をとりのぞく場合もあります。

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【頸椎症】

 男性に多い原因としては「頸椎症」があげられます。これは神経が頸椎の出口の部分で圧迫されるためにおこります。多くは頸から片側の腕にかけてしびれが生じ、足のしびれを伴う場合もあります。頸をゆっくりと後ろへ傾かせる時にしびれが強くなると言った特徴があります。

【肘部管症候群】

 肘の内側で尺骨神経が圧迫され起こります。小指と薬指の小指側半分のしびれが特徴的で手のひらと手甲の両方におき、男性に多く利き手側におこりやすい特徴があります。

【胸郭出口症候群】

 鎖骨のすぐ下の隙間で神経が圧迫されおこり、手のしびれ以外に頸や肩の痛みやこりを伴う場合があります。なで肩の若い女性や腕をよく上げる職業の人に多いと言われています。

【局所の圧迫が原因の場合の検査や治療】

 これらの末梢神経の局部的な圧迫によるしびれの場合は診察と検査(必要なら頸椎のMRIなど)のうえ、圧迫部位を同定し、圧迫を解除するために安静や姿勢の工夫、局所への注射、消炎剤やビタミン剤の内服などをおこない、程度と原因によっては手術にて圧迫をとりのぞく場合もあります。

【末梢神経炎や糖尿病性末梢神経障害】

 ビタミン欠乏や多発性神経炎、糖尿病などの全身疾患で末梢神経障害がおこるとしびれを生じる場合があります。走行距離が長い神経から先に症状がでてくるため、手だけでなく、足先のしびれも伴う事が多く、また前述のような局所の原因によるしびれと違い左右両側にでてくる事が多い特徴があります。

【危険な手のしびれ】

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 手局所のしびれ以外に麻酔や他の部位の症状を伴う場合は要注意です。手のしびれと甘くみていると実は脳血管障害(一過性脳虚血発作、脳梗塞や脳出血、くも膜下出血など)が原因の場合があります。
 危険な症状としては急にきた片方の手のしびれだけでなく、麻痺を伴う場合や口の中や唇などにもしびれやろれつが回らないなどの随伴症状がある場合は要注意です。

【最後に】

 手のしびれは原因にもよりますが、圧迫によるしびれは軽度のうちならば手術以外の治療で良くなる場合が多いようです。放置しておくと筋力低下や知覚障害などの後遺症が残る場合もあり、また全身の病気が原因であったり命にかかわる病気が隠れている可能性もあり早期に受診し正しい原因と対策を知る事が重要です。
 受診の際には「いつからしびれが始まったのか?」「どの箇所なのか?どのくらいの時間持続するか?」「どのような体勢でしびれが生じるか?また楽になるか?」などを医師に伝えることが診断の大きな助けとなります。

  • 特集 (2012 新春号より引用)

【骨量の減少に注意】
〜骨粗鬆症の検査のおすすめ〜

  日常の生活の中で御家族や御友人の妙齢の女性が骨粗鬆症と言われ薬を飲んでいると言った話を頻繁に聞く事があると思います。しかし男性では年をとっても骨粗鬆症の治療を受けている方は非常にまれです。

  骨粗鬆症を一言で表すと「骨の強度を保つために重要な成分が溶け出し、骨がスカスカになりもろくなり、折れやすくなる事(骨量の減少と骨組織の微細構造の異常)」と言えます。

  特に問題となるのは、転倒などにより、大腿骨頸部骨折(足の付け根)や胸椎や腰椎の圧迫骨折が起こりやすくなる事です。これは腰痛の原因として重要なだけでは無く、日本人女性の寝たきりの原因の多くを占めます。現在日本には骨粗鬆症の方の数は女性が800万人、男性が200万人とあわせて1000万人を突破したと言われ大きな社会問題となっています。

<なぜ女性に多いか?>

  骨粗鬆症は女性に多く、閉経後の60−70歳の女性の半分はすでに骨粗鬆症が始まっていると言われ、年齢を重ねるごとにその頻度が上がっていきます。女性はもともと骨量が男性に比較して少ない傾向にありますが、妊娠+出産+授乳でカルシウムを消費してしまう事、また閉経以後はホルモンの変化によりさらに極端に骨量が減少していく傾向が顕著になります。これは女性ホルモン(エストロゲン)が骨の新陳代謝に関わっている事と関係があります。

  正常な骨では古い骨を溶かす働き(骨吸収)と新しい骨をつくる働き(骨形成)のバランスが維持されていますが、骨粗鬆症では骨吸収が骨形成を上回るため骨量が段々減少していきます。

<検査方法>

  骨折してから初めて慌てる方も多いようですが、骨密度はレントゲンや超音波を用いた骨密度検査で、また骨の状況はレントゲン検査で骨代謝マーカーは血液検査や尿検査で苦痛を伴う事なく簡単に知る事ができます。

  骨密度の測定で若年成人(20−44歳)平均値(YAM)の70%未満が骨粗鬆症、70−80%を骨量減少、80%以上が正常と判断されます。

<治療>

  軽度の骨量減少に対しては、食事や運動、日光浴などの生活習慣の改善で対応しますが、骨密度の低下が進んだには薬物療法を用います。

  薬物療法は大きくわけて、骨の破壊と吸収を抑制する薬物、骨の新生を補助する薬物に分けられます。ビスフォスフォネート製剤、塩素ラロキシフェン(SERM)、カルシトニン製剤、ビタミンK製剤、ビタミンD製剤などがあります。また脊椎圧迫骨折などによる腰痛部痛がある場合は、カルシトニン製剤の注射も有効です。

<予防>

  特に閉経後はホルモンの影響で急激に骨密度の低下が始まるので注意が必要ですが、若い方や一般的な予防対策法としては、食生活の見直し+適度な運動+日光浴がポイントです。

  特に若いうちに過度なダイエット、運動不足、喫煙、多量の飲酒などをしている方は将来骨粗鬆症が早く進むリスクが増加します。

  毎日の食生活の中で乳製品を中心としたバランスの良い食事を摂取しカルシウムを意識的に多く摂取するように心がけ、またビタミンDはカルシウムの吸収を助ける効果が、ビタミンKは骨を作るのを助ける効果が、さらにタンパク質やミネラルなど様々な栄養素を摂取する事も大切です。体を動かす事で筋力と骨量は増加し、また日光にあたる事で骨形成に重要なビタミンDの活性化が促進されるため、特に屋外歩行をおすすめします。

<最後に>

  40歳を過ぎたら、特に50歳を過ぎた閉経後の女性は定期的に骨量の測定検査を受けるようにし、将来の骨粗鬆症を予防し骨折をしづらい身体を維持していく対策をたてたいものです。

  • 特集 (2012 新春号より引用)

【外反母趾の正体】

  外反母趾とは足の親指(母趾)が、小指側に変形して「くの字」に曲がって痛みが起こる状態をいいます。

  進行してゆくと、親指の曲がりが強くなって、ほかの指に重なったまま戻らなくなり、さらに他の指も跳ね上がって固まってしまうことがあります。

  外反母趾の原因としては、遺伝や扁平足といった先天的なものや、ハイヒールのようなかかとの高い靴を履く習慣、筋力や靱帯の弱さ、関節リウマチのような病気などがあり、これらの要素が重なって変形を引き起こすと考えられています。

  外反母趾の治療法は進行度合いによって異なります。痛みと腫れが外反母趾の具体的な症状ですが、痛みは必ずしみ変形と比例しないようです。痛くないからといって放置しておくと悪化して最終的には手術を考えなければいけない場合もあります。変形があるなと思ったらストレッチや外反母趾の矯正グッズを利用するなど、セルフケアも大切です。

  また、外反母趾を悪化させない靴を履くことも大切で。つま先の幅が広くかかとが低いものがよく、初期であれば運動靴でも効果があります。

  • 特集 (2011 秋季号より引用)

【身近な健康食材】
〜いわし〜

  いわしには、かたくちいわし、うるめいわしなど数種類ありますが、通常いわしといえば、まいわしのことを指します。

  いわしには、EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)といった不飽和脂肪酸がたっぷりと含まれています。これらは、動脈硬化や血栓症予防、脳や目の機能を高めるのに有効です。

  さらに、歯や骨を強化するカルシウムが豊富で、そのカルシウムの吸収を助けるビタミンDも含まれています。ビタミンDのおかげで吸収力がアップすることからも成長期の子どもや中高年の方におすすめです。

  いわしを購入する際は鮮やかな青でうろこがはがれていないもの、そして目が澄んでいるものを選ぶとよいでしょう。ただし、EPAやDHAなどの脂肪酸は非常に酸化しやすく、酸化が進むといわしの鮮度と味が落ちますので注意しましょう。

  • 特集 (2010 秋季号より引用)

ランニングと膝の痛み
〜走る前後に十分なケアを〜

 市民参加のマラソン大会の人気や健康志向の高まりで最近、ランニングに励む人が増えてきました。ランニングは比較的手軽に始められるスポーツですが、経験の少ない人の中には膝を痛めてしまうケースも少なくありません。ランニングによる膝の障害を予防するためには、走る前の準備や運動後のケアを十分に行うことが大切です。

 ランニングを始めたばかりの人の中には基礎体力や脚の筋力が十分備わっていないうちに、すぐに速いペースで走り出してしまう人がいます。これが腰を痛めてしまう大きな原因となります。

 まずはウォーキングから始めてみるとよいでしょう。最初は走ることはせず、ウォーキングを数十分行って終了します。それを何日か何週間か続けてからランニングに移行するようにします。

 ランニングも最初のうちは無理をせず、短めの時間・距離で行い、徐々に走る時間・距離を伸ばすようにしましょう。

 ランニング前の準備も大切です。いきなり走り始めるのではなく、汗ばむ程度の準備を心がけましょう。最初に5〜10分のウォーキングやゆっくりしたジョギングを取り入れ、ストレッチで筋を伸ばしておくことも大切です。

■走った後のケア■

 一般にランニングでは自分の体重の3倍の負荷が膝に掛かるといわれ、スピードを 上げるとさらに強まります。走った後に氷や保冷剤をタオルで巻いたもので5分〜15分冷やせば、痛みだけでなく翌日の筋肉の張りなどを抑える効果があります。また、走った後、軽くマッサージを行うことによって血行をよくし、疲労がとれやすくなります。

■予防のために■

 最低限のウォーミングアップやアイシングなど、走る前後のケアは大切ですが、初心者ランナーには日頃からの筋力トレーニングやストレッチも有効です。太ももの筋力アップや膝の痛みの原因となるケースが多い太ももの外側にある腸脛靭帯(ちょうけいじんたい)のストレッチなどを心がけましょう。

 また着地時に膝が伸びたままの走り方だと膝への衝撃が大きいので、歩幅が広いストライド走法よりピッチ走法のほうが負担を軽減できます。

 またクッション性のランニングシューズを選び、磨り減った靴は使用しないようにしましょう。

 あくまで楽なペースで続けることが大切ですが、痛みが3〜4日安静にしても続くようでしたら受診したほうがよいでしょう。

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  • 特集 (2010 秋季号より引用)

「ぎっくり腰」になったら
 からだを急に動かした時におこる腰の激痛が、「ぎっくり腰」です。

 「ぎっくり腰」は、必ずしも不自然な姿勢で重いものを持ち上げようとした時におこるとは限りません。逆に、おおくは〈ちょっとしたはずみ〉でおこります。朝起き上がろうとした時や咳やくしゃみをしたとき、落とし物を取ろうとして中腰になったときなどにおこりやすく、若い男性におこりやすい特徴があります。

 「ぎっくり腰」は、正式には「急性腰痛症」と呼ばれ、腰の筋肉が肉離れを起こしたり、腰椎の関節部分が、ずれたりしたことが原因といわれています。

 「ぎっくり腰」になったら、まず楽な姿勢で安静になることが大切です。横向きでひざと腰を曲げて寝ると腰への負担が軽く楽になります。2、3日は安静が必要ですが、通常は一週間程度で軽快します。長引く場合は、若い人では椎間板ヘルニアを、中高年の場合は圧迫骨折なども考慮する必要があります。

 治療は、消炎鎮痛剤や筋肉弛緩薬、湿布などが用いられますが、ひどい時はブロック注射をすることがあります。また、コルセットを利用すると腰への負担が軽くなります。

 「ぎっくり腰」を予防するには、@腹筋運動や背筋運動、骨盤回しなどの腰痛体操をする、Aものを持ち上げる時には、両足に同じように重心をかけ、腰を落としてゆっくり持ち上げる、B中腰の姿勢を長く続けることは避ける−などをお勧めします。

  • 特集 (2010 夏季号より引用)

女性に多い「冷房病」
〜外気との温度差と湿度に注意〜

 暑さの厳しい日が続いています。暑い夏を快適に過ごすためのクーラーですが、冷やしすぎると、体調を崩す原因にもなりかねません。特に女性はこの時期、冷房によって生理不順、体がだるい、足腰が冷える、頭痛がする−などといった症状で悩む人が多いようです。いわゆる「冷房病」を予防し、元気に夏を乗り切りましょう。

 冷房病の原因は、エアコンによる体の冷えすぎと、冷房の効いた室内と暑い戸外との温度差に体がついていけなくなることがあげられます。冷房病は主にこの2つによって起こる自律神経失調症の一種であると考えられています。

 私達の体は、寒くなると皮膚の血管を収縮させて、体内の熱を逃がさないようにし、暑くなると血管を拡張させて熱を体外に逃がしたりして、体温を一定に保っています。この体温調節をしているのが自律神経ですが、自律神経が対応できるのは、温度差5度C以内くらいまでといわれています。それ以上の激しい温度変化にさらされていると、体温調節がうまくいかなくなり、自律神経も乱れやすくなって、さまざまな体の不調があらわれます。

 温度差と湿度がともに高ければ「不快指数」も高くなります。室温が26度Cであっても湿度が50%であれば不快さの少ない状態(不快指数75)であるといわれています。冷房中の室内は外気温より5〜7度Cぐらい低く設定し、同時に除湿をすれば体感温度を適度に保つことができます。不快でない程度に外気に近い状態の室内が体にとってはよい環境で、冷房病の予防に役立ちます。

●冷房病5つの対策●

 ・冷房から身を守るスカーフなどを用意
 通勤電車の中や外出先での冷房対策用にスカーフやカーディガンなどを持ち歩く。職場ではひざかけ、厚手の靴下などを用意し、冷風を直接体にあてないように、また、体を締めつける服や靴は血行を妨げるので避けましょう。

 ・体を動かして血行を促す
 長い時間同じ姿勢で仕事をしていると、血行が悪くなり、冷房病にかかりやすくなります。ときおり軽くストレッチをして、体の血行を促しましょう。汗をかくのは体温調節機能を正常に保つのに効果があるためウォーキングなど、軽く汗をかく運動もお勧めです。

 ・入浴して体を温める
 夏はついシャワーだけですませてしまいがちですが、できれば湯船につかり、体の内側から暖めましょう。温めのお湯でゆっくり半身浴をすると冷えて収縮した血管が広がり、体が温まります。足湯も効果があります。

 ・温かく栄養バランスのよい食事をとる
 冷たい食べ物や飲み物で胃腸を冷やすと、消化力が衰えて体力が落ち、体調が崩れやすくなります。温かくて栄養バランスのよい食事を心がけましょう。

 ・適度な冷房で快眠を
 あらかじめ寝室の温度をエアコンで下げておき、寝る前にスイッチを切ったり、タイマーを利用して2時間程度で冷房を切るようにしましょう。
 寝るときには、冷房の風邪が直接当たらないように注意しましょう。特にお腹などの大幹部、足元はできるだけ冷やさないように寝冷え対策をしっかり行いましょう。

  • 特集 (2010 夏季号より引用)

熱中症、高齢者は要注意
−予防のポイント

 厳しい暑さが続く夏の季節となりました。夏といえば、熱中症に十分な注意が必要です。特に高齢者はかかりやすいといわれています。
 そのわけは、@体温を調節する機能が弱ってきていることA体内の水分量が若い人に比べて少ないため、脱水の影響を受けやすいことBのどが乾く感覚が鈍ってきていることCいろいろな持病があって、いろいろな薬をのんでいることが多いこと−などがあげられます。また、熱中症は屋内で日常生活をおくっている時にも多く発生しています。

予防のポイント

 A.暑さを避け、涼しい環境を作ること:天候や温度、湿度を常に気にして、外出時は日なたを避け、室内では扇風機やクーラーをうまく使いましょう。

 B.水分をこまめにとること:トイレが近くなるからといって、水分補給をいやがらない。水だけでなく、時にはスポーツ飲料などの電解質の含まれる飲み物を取りましょう。また、寝ていても水分は失われます。寝る前にもコップ一杯くらいは水分を補給しましょう。

 C.前触れを逃さないこと:熱中症軽度(T度)の症状として「めまい」「立ちくらみ」「こむら返り」などがおこることが多いので、これらを見逃さないようにしましょう。
 熱中症中程度、重度になると、救急車や入院が必要となってきますので、高齢者や小さいお子さんのいる家庭や環境では、周囲の人の観察や気配りが大切です。

  • 特集 (2010 春季号より引用)

腰痛予防のために
〜かんたん腰痛体操〜

 腰痛の予防には、日頃から腰に負担をかけないような生活を心がけ、腰痛体操を行って腹筋や背筋を鍛えることが効果的です。
 また、急性腰痛で痛みがひどい場合や、慢性腰痛の場合には、早めに整形外科を受診するようにしましょう。


■腰痛には急性と慢性のものがあります

 急性腰痛:ちょっとした動作で腰の筋肉や靱帯の一部が壊れて、腰痛が起こることがあります。このような急性の腰痛を一般的に「ぎっくり腰」と呼んでいます。急性腰痛は安静を心がけ、痛みが治まるまでは冷湿布などで患部を冷やします。痛みが和らぎ急性期が過ぎたら、入浴などによって患部を暖め、血行をよくするようにします。なかなか痛みが治まらない場合には、整形外科を受診しましょう。

 慢性腰痛:急性腰痛が慢性化したり、「椎間板ヘルニア」などの病気が原因で腰痛を繰り返すような場合を慢性腰痛といいます。慢性腰痛の場合は、まず整形外科へ行って原因を調べる必要があります。

■腰に負担がかからないようにする日常の注意点

 腰痛の予防には「いつも姿勢を良くしている」ことが大切です。そして、デスクワークや車の運転など、長時間同じ姿勢を続ける場合は、たびたび姿勢を変えるようにしましょう。また、腰に負担がかからないよう、日頃から次のような点に注意しましょう。

 寝る時:膝の下に枕を入れるなどして、膝を高くして寝る。敷布団やマットは腰が沈んで腰に負担がかからないように、硬めのものを選ぶ。

 起き上がる時:横向きになり、腕で上体を支えて起き上がる。

 座る時:イスは背もたれと肘掛けのついたものを選び、深めに腰をかける。

 重い物を持ち上げる時:しゃがみこんでから、体を物に近づけて脚の力で立ち上がる。

■「かんたん腰痛体操」で腹筋と背筋を鍛えましょう

 腰痛の予防には腹筋や背筋を鍛える「腰痛体操」が効果的です。腰に痛みのないときや、痛みが和らいだときに行いましょう。毎日それぞれ10回ずつくらい繰り返すと効果的です。

 膝抱え体操:あおむけに寝て両脚を抱える。膝を胸につけるように力を入れて引き寄せ、5秒間停止する。

 起き上がり体操:仰向けに寝て、膝を立てる。首が前に動くのを防ぐためには手は耳の後ろに添える。上半身をゆっくり起こし、途中で止め5秒間停止する。

 おじぎ体操:姿勢よく脚を肩幅ぐらいに広げて立つ。背筋を伸ばすように意識して、上半身を前に倒す。背筋を使って上半身をゆっくり起こす。

  • 特集 (2010 春季号より引用)

歩いて血圧を下げよう 「ウォーキングの目安と注意」            

 ウォーキングなどの有酸素運動(たくさんの酸素を取り入れながら行う運動)が、高血圧などの生活習慣病の改善に有効であることはあきらかです。

 適度な運動を続けることが、@心臓や肺、血管などの働きが強化され、A肥満の解消や防止に有効であり、B善玉のコレステロールを増やすので動脈硬化を防止し、C精神的ストレスの発散にもつながります。

 もちろん、年齢や健康状態に応じて運動量や時間を調整する必要はありますが、一般的めやすとしては、@一日40〜60分の運動(8000〜10000歩)を週4〜5回、合計200分程度行う。一日朝、夕の2回に分けても有効です。A軽く汗をかく程度の運動。B適度な運動のめやすとしては、脈拍(心拍数)を測ることが有用です。適度な運動の脈拍数は、年齢によってきまっている最大心拍数(220−年齢)の50〜70%です。60歳の方ですと、80〜120/分となります。普段から、脈拍をとる練習をしておきましょう。

 ウォーキングをする場合には、あごを引き、目はやや遠くをみて、腕を意識的に大きく振って、つま先を上げてかかとから地面に着くようにしましょう。

 膝や腰の痛みなどで、ウォーキングが困難の場合は負担の少ない水中ウォーキングやサイクリング(自転車こぎ)なども有効です。体調の様子で無理をせず、また血圧は非常に高かったり、膝や腰の関節の病気や心臓、呼吸器などの内臓疾患がある人は必ず医師に相談してください。

  • 特集 (2009 夏季号より引用)

骨折時の応急処置 「患部を動かさず固定する」

 骨折は、気づかずに放置しておくと、悪化させてしまったり、治癒を遅らせてしまうことになります。ねんざだと思って安心していたら骨折だったというケースも多く見られ、特に子供さんや高齢者の場合は注意が必要です。骨折に対する正しい知識と応急処置方法を知っておきましょう。

●骨折している場合の特徴は?

 骨折している場合は、以下のような症状があります。
  • 痛みが激しく、冷や汗がでたり、ちょっと触れても飛び上がるほど痛い
  • まわりが出血して腫れている
  • 手足が動かせない
  • 触ると骨がくずれていることがわかることがある
  • 折れた骨がすれてコツコツ音がすることがある
  • 変形したり、くぼんだり、大腿骨や股関節(股のつけ根)の骨折では左右の足の長さが違うこともある

●骨折した時の応急処置は?

 骨折した場合には、無理に動かさず、その場で応急処置を行うようにしましょう。板や傘など、副木になるものを探して、骨折した箇所が動かないように、上下の関節までをしっかり固定します。

<応急処置の手順>
  • 骨折した部分を動かさないようにして、患者を安全な場所に移動させる。
  • 傷があれば、先に傷の応急処置をする。
  • 板や傘、雑誌、毛布、定規など、副木に使えそうなものを探す。
  • 骨折部の上下の関節を含めて副木で固定する。

 包帯は副木が動かない程度に、きつすぎず、ゆるすぎず巻くのがコツです。

●高齢者に多い骨折

 高齢者は骨が弱っている場合も多く、転倒だけでなく、ちょっと手をついただけで骨折するケースも少なくありません。骨折の多い部位としては、股の付け根(股関節)、手首、肩のつけ根、背骨などがあげられます。特に股関節や背骨は骨折していてもわからない場合が多いので、高齢者が転倒して起き上がれない場合などは、骨折を疑ってみるようにします。痛がるので、安静にして寝かせておこうと考えると、治療を遅らせるばかりでなく、寝たきりの原因となることもあります。

 強い痛みを訴える場合には、骨折を疑い、速やかに整形外科を受診するようにしましょう。

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