• 健康だより


  • 医学コーナー (2017 新春号より引用)


座骨神経痛
 「坐骨神経痛」は多くの方が頻繁に耳にする名称だと思います。症状の特徴は「お尻から足の後ろ側にかけての痛みやしびれ、麻痺などの症状」と漠然としています。坐骨神経痛を病名と思われている方も多いと思いますが、頭痛や腹痛と同じ症状を表す言葉です。

 つまり坐骨神経痛を起こす原因は多くあり、ある原因によって坐骨神経が圧迫されたり刺激を受けることで「坐骨神経痛」が起こります。内臓疾患や腰痛が原因となっている場合もあり、我慢していないで早急な整形外科受診をお勧めします。

【坐骨神経痛の症状】

 腰痛は多くの人が経験があると思いますが、お尻や大腿の裏、スネなどに鋭いしびれ、張り、冷感や灼熱感、締め付け感が走ったり筋力低下を伴う場合は、坐骨神経痛を疑います。特に突然足に力が入らなくなり歩行困難になった時、排尿や排便の障害も伴う時、横になって休んでいても下肢の痛みが強まる時は要注意です。代表的な場所は、お尻、太ももの後ろ側・ふくらはぎで、一部分だけに強く感じることもあれば、下肢全体に強く感じる場合もあります。多くは片側性です。

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【坐骨神経痛を発症する原因】

 腰から足先までわたる坐骨神経に痛みやしびれが起きる坐骨神経痛は、さまざまな病気が原因となって起こります。どのような原因があるか、頻度の高い疾患をいくつかあげて見ましょう。

@腰椎の椎間板ヘルニア

 腰椎の椎間板ヘルニアの症状は、腰痛だけではありません。太ももやひざ、足首、つま先にまで激しい痛みが伴う坐骨神経痛を合併しやすいのが特徴です。ヘルニアの合併による坐骨神経痛では、くしゃみや咳、排便時など力んだ際にも痛みを伴う場合があります。

A脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)

 首から尾骨まで続く骨を脊椎(いわゆる背骨)と言いますが、その中には管状の空間があります。これを「脊柱管」といいます。なにかしらの原因により脊柱管が狭くなってしまうと、脊髄や馬尾神経、血管にそこから伸びている末梢神経の根本(神経根)が圧迫されてしまいます。これにより、さまざまな症状が現れる疾患が「腰部脊柱管狭窄症」です。特に高齢者に起こりやすいという特徴があります。

B筋肉による圧迫が原因となる場合

 坐骨神経は、人体のなかでも一番長い神経で、お尻から足の指先にまで及びます。そのため、ケガをしたり、スポーツをすることなどによって、周囲の筋肉と坐骨神経が圧迫されると下半身の広い範囲で神経痛を引き起こすことがあります。このような状態を「梨状筋症候群(りじょうきんしょうこうぐん)」と呼びます。梨状筋はお尻にある筋肉で打撲やスポーツで梨状筋を使い過ぎることにより下を通る坐骨神経が圧迫され、痛みやしびれが起こります。

Cその他の病気が原因となる場合

 ヘルニアほど多くはありませんが、坐骨神経痛を招く原因には、糖尿病や帯状疱疹、脊髄や骨盤内にできる腫瘍、アルコール依存症など、意外な病気によって引き起こされる場合もあります。

【坐骨神経痛の診断と治療】

 坐骨神経痛は病名ではなく症状ですから、上記の病気をそれぞれ診断していく必要があります。

 医療機関受診の際に正確な診断の助けとなる情報として重要なことは「いつからどのような症状が始まったか?」「痛みやしびれのある部位は?また症状が悪化する動作や姿勢に特徴があるか?」「時間帯により症状に変化があるか?」「症状が出たきっかけに心当たりがあるか?」「過去にも同じような症状がでた事があるか?」「以前の病気や治療中の疾患、服薬している薬は?」などがあり、メモをとり医師に的確に伝える事は有用です。

 整形外科ではまず詳細な問診を行い、診察では歩行や姿勢、動作の確認、触診や体位変換で起こる症状の変化や力の入り具合などを診察します。

 さらに原因を確かめるためには腰椎レントゲンやMRI、CTなどを行います。

 坐骨神経痛の治療は、原因の病気に関わらず、まずは症状を和らげる保存的な対処療法が主体となります。手術以外の治療(保存的療法)を開始し、それらを十分に行っても痛みが良くならない場合や尿や排便などの障害があらわれた場合には手術が検討されます。

 補助的に温熱療法やマイクロウェーブ、マッサージなどで血流の改善や筋肉の緊張を和らげる理学療法もしばしば用いられ、原因によっては牽引療法やコルセットなどの装具療法を併用する場合もあります。ある程度症状が軽くなってからは体操やストレッチなどで筋肉や靭帯の緊張をほぐすと、関節の可動域や筋力の向上に有用です。

 薬物療法は消炎鎮痛剤や筋緊張弛緩薬、抹消循環改善薬などを症状と原因にあわせて使用します。また理学療法や薬物療法で効果がみられず痛みが強い場合は神経ブロック療法も行われる場合があります。

 保存療法と薬物療法を3ヶ月程度続けてもあまり改善がない場合は、腰部脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアなど局所の神経への物理的圧迫の原因が明白な場合は手術も検討されます。

【坐骨神経痛の予防】

 坐骨神経痛は、軽度のうちなら体操などによって自分でも予防したり改善したりすることができます。ただし、強い痛みがあったり歩きにくい場合には自己流でやると悪化させてしまうことがあるので、かならず受診して医師の指導を受けてください。

 坐骨神経痛の予防や改善には、ストレッチと筋肉運動が効果的です。ストレッチは背骨や筋肉などをゆっくり伸ばし、緊張をほぐすことで、椎間板や脊柱管への負担を軽減する運動です。デスクワークや立ち仕事で同じ姿勢を続けることが多い人は、ときどきストレッチをしましょう。

  • 医学コーナー (2016 秋季号より引用)


スマホネグレクトにご注意を!
〜気づかぬうちに育児放棄〜

 今や誰でもスマートフォンを持つ時代です。一方、スマホに夢中になりすぎて、赤ちゃんの世話がおろそかになる、子どもに話しかけられても生返事をするといった「スマホネグレクト」が問題になっています。「ネグレクト」とは、育児放棄の育児怠慢という意味です。近年、このスマホネグレクトが子どもの発育に好ましくない影響を与えることが指摘されています。

サイレントベビーになる危険も

 言葉が話せない赤ちゃんは泣いたり、笑ったりすることで自分の気持ちを伝え、その都度、親がきちんと応えることによって愛着形成が進んでいきます。

 しかし、赤ちゃんが泣いたりした時、スマホから目を離さず、赤ちゃんと向き合わないことが続くとどうなるのでしょうか?スマホに夢中の親に無視し続けられた赤ちゃんは、「自分が泣いても反応してくれない」と繰り返し学習することで、感情表現が少なくなったり、いずれ泣くことすらしなくなる「サイレントベビー」になってしまう恐れがあるといいます。

 さらに、親との愛着形成がうまくできなかった子どもは、成長しても他の人との距離の取り方や人間関係の築き方が分からず、社会生活に支障が出てしまう可能性もあります。

 スマホネグレクトの恐いところは、目の前のスマホに熱中するあまり、いつの間にか自分が子どもに対して無関心になっている、無視している状態になっていると気づきにくいところです。「ついついスマホに手が伸びてしまう」ことに心当たりのある親御さんは、子育て中のスマホ依存によるリスクを十分に理解し、スマホより子どもに目を向ける時間を増やすことが大切です。

【スマホネグレクトの防止策】

◆授乳中は赤ちゃんの目を見る

◆おんぶやだっこ中のスマホは禁止

◆赤ちゃんが遊んでいる時は言葉をかけながら一緒に遊び、共感する

◆子どもの前でスマホを使用しない

◆スマホを見た時間の2倍、3倍、子どもと触れ合う心掛けを

  • 医学コーナー (2016 新春号より引用)

関節リウマチの初期症状を見逃さない

 リウマチと言う病名はかなり有名であり、膝や腰、手指が痛いと「私はリウマチでは?」と心配されて外来を訪れる方が多くいらっしゃいます。

 慢性関節リウマチは普通の関節炎と比較すると、微熱やだるさ、食欲不振など他の全身の症状に悩まされる点や、慢性炎症が持続すると関節の骨や軟骨が破壊され、関節変形により機能が荒廃し日常生活に支障を与える程度が強い点が問題となるいやな病気です。

【原因、本態、頻度】

 何らかの原因で本来自分を防御するための自己免疫のシステムが暴走し自分を攻撃する物質(自己抗体)を作り自分の関節を攻撃するため関節の炎症が起こります。腫れや痛みだけではなく最終的には関節の破壊につながり生活の質に大きな影響がでる事が問題です。頻度は日本全国で70−100万人と多く、男女比は1対4と圧倒的に女性に多く働き盛りの30−50歳代の罹患率が高いため、患者さんご本人のみならずご家族に与える影響も多い辛い病気です。

 以前は痛み止めと抗炎症薬をつかい症状と関節機能の荒廃を少しでも送らせるといったお茶を濁すような消極的な治療法しかありませんでしたが、最近になり次々と病気の本態である免疫の異常を抑制する新しい薬が開発され、関節リウマチの治療は大きな進歩と変化をとげています。それだけに発症早期に的確な診断をおこない、関節の破壊が少ない段階で治療を始める意義が大きくなったと言えるでしょう。

【初期の症状】

 膝や腰のトラブルをかかえ痛みに悩んでいる方も多いと思いますが、普通の関節痛では作業を行っている最中や仕事後の夕方になってから痛みが増強する傾向が多いのですが、関節リウマチの場合は朝起きた時に手の指や足の指、膝などの関節が腫れぼったくこわばり動かしづらい特徴があり「朝のこわばり」と呼ばれます。手指がこわばるため朝に洋服を着るときにスムーズに指が動かない、歯ブラシや箸がうまくつかえないと言った不具合がでます。

 関節以外の全身症状(疲労感や倦怠感、食欲不振、体重減少)を伴う事も特徴の一つです。関節痛の腫れは多くの場合、指の第2・3関節から始まり、足の指、足首、膝、肘肩などと拡大していきます。

 また関節や軟骨の破壊がすすむと関節の変形が高度になることも特徴的です。

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【診断基準】

 @1時間以上続く朝のこわばり
 A3つ以上の関節に炎症による腫れが見られる
 B手首や手指の付け根の関節、手指の第2関節に炎症による腫れが見
  られる
 C持続する対称性関節腫脹
 D皮下結節(リウマトイド結節)が肘や膝に見られる
 E血液検査でリウマトイド因子が陽性
 FX線検査で手の関節に骨の委縮などの変化がみられる

 (@−Cまでの症状は6週間以上持続)上記7項目のうち4項目以上に当てはまる場合は慢性関節リウマチの可能性が高いと言えます。

【診断のための検査】

 早期の段階での確定診断が意外に難しい病気です。その理由として「この症状があれば診断確定」「血液検査や画像診断でこの変化があれば確定」と言ったきめ手が無い点です。血液検査からは赤沈やCRP、MMP-3などの炎症反応、リウマトイド因子や抗CCP抗体、抗核抗体、補体などを測定しリウマチを含めた膠原病の可能性を疑いますが、確定的な事は血液検査単独では困難です。レントゲン検査でわかる関節の破壊の状況や程度も参考にして、自覚症状や他の検査や病気の経過を見ながら総合的に診断を進めます。

【治療】

 治療の主体は薬物療法です。ひと昔前まではステロイド薬や非ステロイド系の消炎鎮痛剤で関節の痛みや腫れを抑える対症療法が治療の中心でした。

 最近になり根本の原因となっている自己免疫の異常を抑制したり、関節の破壊を遅らせる特効薬が開発され治療に大きな変化と飛躍的な進歩をもたらしました。

 抗リウマチ薬などの免疫抑制剤に続き、抗TNFアルファ抗体などの生物学的製剤の出現(2003年)は大きな福音をもたらしました。最近ではこれらの治療をうまく併用し、「寛解」(症状兆候がほぼ消滅した状態)の維持から緩解(臨床的にコントロールされた状態)にまで回復する患者さんが増えています。

 また関節の変形や腫脹が高度になった方には、人工関節手術や関節形成術、骨膜切除術などの手術療法で関節の可動域の改善をはかります。またリハビリテーション療法も進歩をとげており個々の方の状況や症状に合わせて適切な治療を選択できるようになりました。

【他の関節痛】

 前述したように関節リウマチは自己免疫の異常で起こる関節の炎症ですが、他にも関節痛や関節の腫脹を起こす病気は200種類以上あり、経験を積んだ医師でさえも早期の段階で見分けるのが難しい場合があります。

 @他の膠原病:全身性エリテマトーデスやシェーグレン症候群、混合性結合組織病、強皮症、皮膚筋炎、多発性筋炎、ベーチェット病などの他の膠原病でも関節炎を伴う場合が見られます。

 A変形性関節症:指の関節炎や変形の原因として頻度的に一番高い病気です。痛みは指の第1関節(先端)に出ることが多く、腫脹や変形を起こすとへバーデン結節と呼ばれる変形と腫脹を起こしますが、関節リウマチの場合は指の第1関節の変形はむしろまれです。

 A変形性関節症:指の関節炎や変形の原因として頻度的に一番高い病気です。痛みは指の第1関節(先端)に出ることが多く、腫脹や変形を起こすとへバーデン結節と呼ばれる変形と腫脹を起こしますが、関節リウマチの場合は指の第1関節の変形はむしろまれです。

  • 医学コーナー (2015 春季号より引用)

痛風のサイン
〜初期症状を見逃さない〜

 痛風というと貴族のかかる贅沢病、暴飲暴食のなれの果てと言うイメージがありますが、その正体はあまりきちんと理解されていないようです。

 症状としては「痛風関節炎」とか「痛風発作」と呼ばれる関節の痛みの発作が有名です。初期症状で最も頻度の高いのは足の親指の付け根の関節炎です。赤く腫れて強い痛みのため歩けなくなる事もしばしばです。名前の謂れとなった「あまりの痛みのために、風が吹いても痛い」場合はお気の毒ですが、初期には「足のつま先に違和感がある」「足の指が熱っぽく感じる」などの軽い症状の場合も多いようです。

 このような症状はずっと持続する訳ではなくやがて楽になっていくため忘れて放置しがちです。しかしコントロールの悪い生活習慣を続けるとやがて強い発作を繰り返すようになり痛みの程度も発作の頻度も増えていきます。

<痛風の正体>

 人間の血液中には尿酸と呼ばれる物質が存在しますが、その尿酸が高くなり血液中に溶けきれない値まであがると(高尿酸血症)、その尿酸の結晶が関節の中にたまりそれが起爆剤となり関節炎をおこし腫れや痛みが出現します。しかししばらくして炎症が治まると痛みは消えるため高尿酸血症については気にかけなくなる方が多いのですが、痛みの無い血症は増加していくため悪い将来を呼び込む結果になります。

<高尿酸血症>

 高尿酸血症自体はあまり自覚症状がないため、健康診断や偶然血液検査で指摘されてはじめて気づく方が多いようです。

 尿酸の処理能力には遺伝や持って生まれた体質により個人差がありますが、贅沢病と呼ばれるように高脂肪、高糖質の食生活や大量の飲酒、運動不足などの現代的な生活スタイルや環境が大きく影響しており一種の現代病と言えるでしょう。

 放置して高尿酸血症が持続すると痛風関節炎以外にも尿路結石や痛風腎と呼ばれる腎機能障害を起こす場合もあり、また生活パターンから高血圧や脂質異常症との合併が多い事も知られています。

<治療>

 生活習慣の改善と薬物治療が主となります。血清の尿酸値を7.0mg/dl以下の正常範囲に保つ事が重要です。治療薬としては尿酸産生抑制薬と、腎臓からの尿酸排泄促進剤を状況に応じて使っていきます。痛風発作を繰り返すようになってからあわてて血液中の尿酸濃度をさげてもなかなか発作の頻度や程度を軽くするのは難しいため、初期の軽い発作のサインを見逃さず、また高尿酸血症のある方は将来の発作予防のためにも治療をおすすめします。

 薬物療法以外に重要な生活改善のポイントとしてはアルコール摂取や高プリン体食の制限、適度な運動と充分な水分摂取、ストレスの解消などがあげられます。

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  • 医学コーナー (2014 春季号より引用)

女性と男性の更年期障害
〜ストレス多い世代のために〜

 以前より「女性の更年期障害」については話題にのぼる機会も多かったと思います。しかしながら「男性の更年期障害」についても、最近では新聞やテレビなどでも取り上げられ目にした方も多いと思います。漠然とした話で分かりづらい部分も多い病気ですが、今回は女性と男性にわけてお話してみたいと思います。

〈更年期障害とは〉

 女性も男性も40代から50代になると、身体機能の衰えを自覚するのに加えて体や心にさまざまな不具合を感じる頻度が増加してきます。たしかに社会的にも家庭的にもストレスが多く無理がたたってくる世代と言えるでしょう。

 漠然とした症状ですが、のぼせやほてり、発汗、動悸などの「自律神経失調症」と不安、抑うつ、気力減退、不眠、疲労感、だるさなどの「精神神経症状」、他には頭痛や肩こり、腰痛、関節痛、性欲の減退などの身体症状が出現し、他に明らかな原因は見当たらずその原因が性ホルモンの変化によると考えられる場合に更年期障害を疑います。

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■女性の更年期障害■

 女性の場合は性ホルモンの分泌の指標として生理があり、40代後半から50代前半の時期に閉経を迎える方が多く、その前後5年間前後の時期に上にあげたような症状が出現し心身とも不快な症状が出て困る方が多いようです。

 女性ホルモン(エストロゲン)の量は20代後半をピークにその後徐々に低下し40歳を過ぎると急激に減少します。この時期にホルモンのバランスが崩れるため自律神経の調節がうまくいかなくなり、めまいやイライラ、のぼせ、ほてりなどの不快な症状が出てくるものと考えられています。漠然とした自覚症状で外からみるとわかりづらいものですが、日常生活に支障をきたすようになった場合には治療が必要です。ホルモン補充療法や漢方薬、症状によっては鎮痛剤や向精神薬を用いた対処療法、心理療法、食事や運動療法などを組み合併せて個人個人の症状にあった治療法を選択します。一般的には婦人科で治療を受けられる方が多いようです。

■男性の更年期障害■

 上述のように以前には更年期障害は女性だけに特有のものと考えられていましたが、最近では男性にも女性同様にホルモン環境の変化があり同様に様々な症状が出てくると考えられるようになってきました。「LOH(ロウ)症候群(加齢男性性腺機能低下症候群)」という名前で呼ばれることもあります。

 男性には女性のようにはっきりした目安がないため認識しづらい傾向がありますが、やはり加齢により精巣機脳は低下して男性ホルモン(テストステロン)の分泌が減少する事により女性の更年期障害と同じようなホルモンバランスの乱れとそれに基く症状が出現すると最近では考えられるようになりました。また過剰なストレスや運動不足も男性ホルモンの低下に関係すると言われております。早い人では40歳前後からお困りの方が見受けられますが、多くは45歳くらいから65歳前後の方で動悸、肩こり、のぼせ、顔のほてり、手足のしびれ、頭痛、発汗、冷え性などの身体的な不定愁訴や、性機能症状(性欲の低下、勃起障害ED、早朝勃起の回数の減少)、また精神面では倦怠感、無気力、不眠、うつ傾向などの精神症状が出てくる可能性があります。

 男性の更年期障害は女性と比較して個人差があり大きくばらつき、ホルモンの低下も穏やかで閉経などのはっきりとした体の変化が表れず社会的要因に左右されるため症状にや、気がつきにくい点が特徴です。治療としては女性と同じようにほるもん補充療法や、漢方薬、精神面では精神安定剤や入眠導入剤などを用います。また勃起不全(ED)に対しては最近では特効薬が特効薬が普及しているため安全を確認しながら処方を受ける方もいらっしゃいます。

 男性の更年期障害の場合に何科を受診したら良いのか迷う事も多いと思いますし、そもそも病院に行くのが恥ずかしく心理的に低k峰を覚える方も多いようです。最近ではさまざまな大学病院の泌尿器科などの先生が中心になって「メンズヘルス外来」と名打って相談やホルモンの検査を受けやすくなるように努力されています。

〈最後に〉

 注意していただきたいのはこの年代にはほかの原因でも様々な不都合な症状がでてくる可能性も高くなってきます。「更年期だから」と自分で納得して一言で片付けてしまいがちですが、実際には甲状腺疾患や高血圧、糖尿病、うつ病などが隠れている場合もあります。

 男女ともにこの年代はさまざまな人生のストレスを抱え込みやすい危険な時期と言えるでしょう。仕事上の重責や、経済的な不安、リストラの心配、将来や老後への不安が、また家庭では子供達の独立による寂しさやむなしさ、夫婦間のすれ違いや年老いた両親の介護問題などが大きく心にも体にものしかかっている方も多いと思います。とくにうつ病などの精神的な不具合は辛いものがあります。大切なのは我慢しないことです。働き盛りの更年期を、適切な診断や治療のもとで乗り切って、人生の後半を快適に過ごしていただきたいと切に願っております。

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  • 医学コーナー (2013 秋季号より引用)

高齢者に多い骨折
転倒予防で寝たきり防止

 皆様の周囲にも骨折が原因で寝たきりになった方がいらっしゃると思います。高齢になると転倒した時に骨折する事が多くなりますが、骨折の予防は脳卒中や認知症と同様健康で生き生きした生活を送る上で重要な問題です。

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【高齢者の骨折の特徴】

 高齢になると骨折をしやすくなる大きな原因として@骨粗しょう症で骨がもろくなっている事A日常生活の中で転倒する機会が増加する事があげられます。

【転倒に注意】

 足の筋肉の力が衰えたり、平衡バランス感覚が悪くなりふらついたり、目が悪くなり足もあがらなくなるために家の中のちょっとした段差でもつまずき易くなります。たとえば布団やマットレスでひっかかったり滑ったり、気が焦って体だけ前のめりになり転倒したりと思い当たる点も多いと思います。また血圧の変動や耳からくるめまいやふらつきが原因で倒れたりする場合もあり、日常生活の中で骨折の危険が増加します。

 また若い頃と比べると骨粗しょう症で骨の強度が落ちていたり、反射神経や筋力の低下もありうまく受け身がとれなかったりと、ちょっとした衝撃で思わぬ骨折につながる可能性が増えます。高齢者の場合一度骨折すると治るまで時間がかかり、安静にしている時間が長いため、その間に筋力が衰え寝たきりになったり、生活の質が大きく低下してしまうことが多いのが現状です。

【高齢者に多い骨折部位】

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 高齢者の骨折で多くみられる骨折部位は@上腕骨頸部骨折(腕の付け根)A橈骨遠位端(とうこつえんいたん)骨折(手首)B脊椎圧迫骨折(背骨)C大腿骨頸部骨折(腿の付け根)です。

 女性では骨粗しょう症の方が多いため、転倒により大腿骨頸部骨折を起こす方が多く、骨折後に歩行能力が著しく低下し寝たきりにつながる危険性があります。

【治療の特徴】

 転倒は一瞬の出来事です。手をつく、肘や肩をうつ、尻もちをつく、足をひねるなどの動作が骨折の引き金になります。

 いずれも骨の転位(ずれ)の有無や程度によって治療法は異なりますが、若い人の場合と違って、高齢者ではギブスや装具などの外固定のみでは無く、「なるべく安静に寝ている期間を短くして筋力の低下を防ぎ、寝ている間の認知機能の低下を最小限にとどめる」ために積極的に手術で骨を固定して、早期にリハビリを開始する傾向にあります。

【転倒と骨折の予防】

 女性の方は運命的に骨粗しょう症が生理終了後から進行していくため、早い時期からあらかじめ骨粗しょう症に対する薬物療法を開始継続し骨の強度の低下を防ぐ事をお勧めします。

 生活面では筋力とくに足の筋力や柔軟性を保つことが転倒の予防には大切であり、運動教室や体操、ストレッチなどの努力が重要です。日常の動作は慌てたり焦ったりしないで、ゆっくり動く事を心がけ、服装はひっかからず動きやすくゆったりとした服が適しています。

 またわずかな段差でつまずいて転倒する事が多いため、バリアフリーの住宅も魅力的ですが、普段から自分の歩く場所にマットや座布団などの危険な障害物を置かないように意識して、つまずいたり滑ったりしないように気をつけて歩きましょう。

 転倒は屋外や外出時よりもむしろ自宅で気を抜いている時に多い傾向があり、廊下や浴室やトイレに手すりをつけ、床の段差をなすくなどの建築的な配慮も効果的です。

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  • 医学コーナー (2009 夏季号より引用)

「子どもにも脱メタボ指導」
〜6年生の10%が肥満傾向児に〜

 子供の肥満増加傾向を受けて、メタボリック(内臓脂肪)症候群を予防するための取り組みが盛んになっています。各自治体などが小学生向けの健康講座を開催したり、食事の改善指導を行ったりしているようです。

 例えば、財団法人児童育成協会では、肥満度20%以上の子どもを対象に「健康スポーツ教室」を開き、体力づくりや食事に関する指導を続けています。約20年程前から始めたものですが、近年は20人の定員に毎回40 - 60人の応募があるようです。

 子どもの肥満は成人後の生活習慣病につながる可能性が高いとされています。このことからも、子供の時期から食事や運動の重要性の意識を持たせる対策が必要になります。

 自治体の取り組みに限らず、ご家庭でも「おやつを食べすぎていないか」「運動不足気味になっていないか」などのチェックを日頃からするとよいでしょう。

 文部科学省の2008年度「学校保健統計調査」によると、小学1年生の約4.6%、小学6年生の約10.5%が「肥満度20%以上」の肥満傾向児という結果になっています。これは30年前に比べてそれぞれ1.9ポイント、3.9ポイント増加していることになります。

 07年には厚生労働省研究班が小児期メタボリック症候群の診断基準を作成しました。それによると、腹囲が小学生は75cm、中学生80cm以上または、腹囲を身長で割った値が0.5以上で、
@中性脂肪またはHDLコレステロール
A空腹時の血糖値
B血圧
の3項目のうち2つ以上が基準より悪化しているケースを「メタボリック症候群と診断する」としています。

 メタボリック症候群は大人だけの病気と思い込まずに、日頃から子どもの生活環境に目を向けることが大切です。

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