• 健康だより


  • 健康相談室 (2019 新春号より引用)

寄生虫による食中毒「アニサキス症」とは?
質問

 先日、海釣りで釣ったサバを刺身で食べた後、激しい胃の痛みとともに吐いてしまいました。病院の内視鏡で診てもらったところ、アニサキスが見つかったため、取り出して症状は治まりました。
 あの痛みはもう二度と経験したくありません。注意すべき事を教えて下さい。(30歳・男性)

回答

 アニサキスは寄生虫の一種で、その幼虫は長さ2〜3cmほどの白い糸状の形をしています。サバやイカ、サケ、サンマなどの魚介類の内臓に寄生し、魚介類が死ぬと内臓から筋肉内へ移動します。アニサキスが寄生している魚を生または生に近い状態で食べると、アニサキスが胃壁や腸壁に侵入し胃腸炎を起こす「アニサキス症」の原因となります。

 胃壁に虫体が侵入する胃アニサキス症が一般的で、食後数時間〜数十時間後に、激しい胃部の痛みや吐き気、嘔吐などを引き起こします。激しい痛みは、虫体が胃壁に食いついた際の刺激と従来解釈されていましたが、現在では胃の粘膜に侵入した際に虫体が出す分泌物に対するアレルギー反応によるものと考えられています。

 胃アニサキス症の治療では、胃内視鏡検査により虫体を見つけ出し、内視鏡の先に装着された鉗子で摘出することで痛みが緩和されるのが一般的です。また虫体が腸壁まで到達する腸アニサキス症では、対処療法が試みられ、腸閉塞などが引き起こされて重症化した場合には外科的処置が行われます。

■アニサキスの特徴を理解する

 予防対策には魚の生食の回避が一番ですが、生食文化のある日本で徹底することは困難です。そこで、@調理レベルの過度の酢、しょう油、わさび等では死滅しない、A冷凍処理(マイナス20℃以下で24時間以上)で死滅する、B魚介類の死滅とともに内臓から筋肉に移動するといったアニサキスの特徴を理解した上で、鮮度の良い魚を選び直ちに内臓は除去して冷凍保存する、切り身に白い虫体を見つけたら除去する、切り身は薄く切るといった方法でアニサキス症を予防しましょう。

  • 健康相談室 (2018 春季号より引用)

肉離れの応急処置
  回復までの時間に影響も
質問

 昨年、駅の階段を一段飛ばしで下りたところ、ふくらはぎに激痛が走り、肉離れを起こしてしまいました。特に応急処置をすることなく2日ほど経ってから病院へ行きましたが、回復までに思ったより時間がかかってしまいました。
 どのような応急処置が必要だったのでしょうか? (30歳・男性)

回答

 急激な運動をした時や、瞬間的に強い力がかかった時に筋肉を形成する筋線維の一部が切れたり、筋肉を覆っている筋膜が破れたりします。これがいわゆる肉離れで、正式には受傷の程度により「筋挫傷」や「筋断裂」といいます。

 典型的なものは、スポーツをしている時、ふくらはぎや太ももの後面に強い痛みが起こり、肉離れを起こした瞬間に「パンッ」という断裂音が起こる場合もあります。痛みで力が入らず、損傷箇所には筋肉の連続性が失われて凹みが生じ、肉離れを起こしてから数時間から数日後に腫れや内出血がみられます。

■直後の応急処置が大切

 肉離れを起こした直後は、安静にして(Rest)、患部を冷やし(Ice)、弾性包帯やパッドで圧迫し(Compression)、腫れや内出血を抑えるため患部を心臓より高い位置に挙上(Elevation)します。これらの頭文字をとって「RICE」処置といいますが、整形外科等の医療機関に行くまでの間にこの適切な応急処置をするかしないかの違いで、回復にかかる時間に差が出てしまいますので要注意です。

 通院により炎症や内出血が治まってきたら、今後は一転して患部を温めて血流を促す温熱療法やマッサージ療法を行います。その後は回復度に合わせて軽いストレッチや歩行などで徐々に負荷をかけるリハビリを行い、完治を目指す治療法が一般的です。

 また、肉離れは再発しやすいのも特徴です。復帰を急ぐあまり、急に激しい運動をする、痛みが引いたからといって通院を途中で止めるといったことは禁物です。筋肉が再組織化され、元のしなやかさを取り戻すまで、しっかりと治療しましょう。

  • 健康相談室 (2015 夏季号より引用)

長引く「慢性腰痛」
  心理的要因の可能性も
質問

 長引く腰痛に悩まされています。ギックリ腰や激しい運動をしたわけでもなく、また、人間ドックの数値も特に異常はありません。
 最近、職場で責任ある立場になり、腰の痛みで業務にも支障が出てしまい困っています。
どのような原因が考えられるのでしょうか?(45歳・男性)

回答

 腰痛で悩んでいる方は非常に多く、厚生労働省の「国民生活基準調査」によると、男性の自覚症状の第1位、女性も肩凝りに次いで第2位という結果が出ています。一般的に3カ月以上続く腰痛を「慢性腰痛」と呼びます。慢性腰痛を引き起こす要因は一つではなく、骨や筋肉の障害、神経の障害、内臓疾患によるものなど様々なものがあります。

 実際の腰痛の事例においては、原因がはっきりとしていて、椎間板ヘルニアなどの病名で診断されるケースは実は思いのほか少なく、検査をしても腰痛の直接の原因が特定できないものが多くあります。

 このような原因不明の腰痛の多くに、ストレスや不安、鬱といった心理的要因が深く関わっていることが明らかになっています。近年解明されてきたのが、痛みをコントロールする「ドーパミン」という脳内物質との関係です。ドーパミンは、痛いはずの状況にあってもその痛みを抑制する働きがあり、もともと脳に備わっている機能です。

 しかし、日常的にストレスを受け続けていると、脳内物質のバランスが崩れ、ドーパミンの分泌が減り、ますます痛みを感じることになります。その上、その痛み自体がストレスとなってドーパミンの分泌がさらに減少し、痛みが慢性化するという悪循環になってしまいます。

 ご質問のケースでは、明らかな原因がなく腰痛が慢性化していること、職場では重責を担っていることなどから、心理的要因による腰痛の可能性も考えられます。日頃からストレスを上手に解消し、整形外科や内科のほかにも、診療内科などの受診も有効でしょう。

  • 健康相談室 (2014 秋季号より引用)

指の第一関節が変形
  ヘバテージ結節の疑い?
質問

3年程前から右手の人差し指の第一関節が曲がり始め、次第に親指の方向に変形して曲がってしまいました。そのため、字を書いたり、箸を持つときに不自由を感じています。
どのような原因が考えられるのでしょうか?。(60歳・女性)

回答

 ご高齢の方の中には、指などの関節が変形する症状が現れることは多くみられます。ご質問のような、手の指の第一関節が変形して曲がる症状からヘバテージ結節が疑われます。

 ヘバテージ結節とは、手の指の第一関節が赤く腫れたり曲がったりするのが主な症状で、痛みを伴うこともあります。原因はよく分かっていませんが、発症年齢はおおよそ40歳代以降の方(特に女性)で、手を良く使う人はなりやすい傾向があります。遺伝性は証明されていませんが、母娘、姉妹間では高率に認められるのも特徴です。

 診断は、第一関節の変形、突出、疼痛があり、X線写真で関節の隙間が狭くなったり、関節が壊れたり、骨棘(こっきょく)があれば、ヘバテージ結節と診断されます。

 保存的療法としては、局所の安静(固定も含む)や投薬、テーピングなどがあります。保存的療法で痛みが改善しないときや変形がひどくなり日常生活に支障を来す場合は、コブ結節を切除したり、関節を固定する手術が行われることもありますが、ほとんどが手術療法には至らないようです。

 予防法は、第一関節が痛むときは安静にしましょう。痛くても使わなくてはならないときは、テーピングがお勧めです。また、母や祖母などがヘバテージ結節になっている人は、体質が似ていることを考慮し、指に過度な負担をかけないようにしましょう。

 ただし、指関節の変形には関節リウマチなどの他の病気が疑われることもありますので、まずは医療機関で適切な診断を受けましょう。

  • 健康相談室 (2011 秋季号より引用)

子どもの靴選び
  〜健康は足元から〜

 秋は運動の季節。子ども達が外で走り回る機会が増えて来ます。そこで気をつけたいのが靴です。足に合わない靴を履き続けると、足の骨が変形したり、全体のバランスが崩れてしまうなどの悪影響が出てしまいます。
 「子どもはすぐに大きくなるから」と、大人の理由で大きめの靴などを選んでいませんか?子どもの健やかな成長を考えるには、正しい靴選びが大変重要であることをしっかりと認識しましょう。

 足の骨格が完成するのは12歳頃までといわれています。それまでの成長過程にある子どもの足は、骨が柔らかく未完成状態です。この時期に小さめの合わない靴を履いていると、足の親指が変形する「外反母趾」などになってしまいます。

 一方、大きめの靴では、中で指が泳いでしまうことでバランスのよい姿勢を保てなくなり「腰痛」などの原因にもなります。

 加えて、健康上の問題だけでなく、成長過程期に足の自然な動きが制限されることで、以後の運動能力全般にも悪影響が出てしまいます。

 痛みや違和感があっても特に小さな子どもは上手に伝えられません。成長期には1年に平均1cmも大きくなる子どもの足。定期的に足と靴のサイズをチェックし、足に合った靴を選ぶようにしましょう。

〈子どもの靴の選び方〉

【指先】
 ・0.5〜1cmの余裕があること
 ・全ての指が自由に動くこと
 ・靴先から1/3の部分が適度に曲がる

【足の甲】
 ・圧迫感がないこと

【かかと】
 ・かかとを覆う部分がしっかりしている
 ・かかとのカーブラインが足のラインに合っている

  • 健康相談室 (2011 春季号より引用)

中年期の肩の痛み
  五十肩の疑い?
質問

 ひと月ほど前から、腕を上げると肩に激痛が走るようになりました。
 動かし方によっては、痛みの出ない方向もありますが、毎日、恐る恐る
 腕を動かしている状況で日々の生活に支障が生じています。

 痛みを緩和する方法がありましたら教えてください。(45歳・男性)

回答

 ある一定方向に肩関節を動かすと痛みが起こることがあります。このような肩関節の運動が制限される病気を肩関節周囲炎と呼びます。
 40歳以上、特に50歳代に多く発祥することから五十肩とも呼ばれています。ご質問のケースも症状と年齢から、この五十肩と思われます。

 五十肩の主な症状としては、これといった原因もなく肩関節に不快感や痛みが起こり、徐々に肩関節が思うように動かせなくなります。痛みを恐れて動かさずにいると、しだいに肩関節を動かせる範囲が狭くなり、衣服の着脱など日常の生活動作にも支障が出てきます。また、夜に肩の痛みで目が覚めて安眠できないこともあります。

 原因としては、肩関節周辺の筋肉やじん帯、腱などの柔らかい組織が、加齢とともに変性し、炎症を起こすものです。炎症によって関節に拘縮(関節を動かせる範囲が狭くなる状態)が起こり、腕の動きが制限されるようになります。睡眠時に痛むのは、無意識のうちに可動域を超えた動作をしてしまうためと考えられます。

 一般に、数ヶ月から1年ほどで自然に症状が消え、治ると再発しないのが五十肩の特徴です。ただし、症状が長引くなどの場合には、肩の筋肉が骨に密着する部分(腱板)に石灰が沈着したり、断裂を起こしていることもあるので、医療機関で正しい診断をしてもらいましょう。

 症状の緩和策としては、痛む肩をかばって全く動かさないのは誤りで、入浴などで幹部を温めて痛みを和らげながら、動かせる範囲内で徐々に動かしていくことが効果的とされています。

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